メガバンクでプロの為替ディーラーを経験した鈴木拓也氏に、当社のFXTF MT4を使用して、代表的なインディケータを解説いただきました。


口座開設したけれど、「どうやってFXを取引していいか分からない!」「MT4でチャート分析の仕方が分からない!」という方も多いかと思います。 元メガバンク為替ディーラーの鈴木拓也氏を講師に迎え、代表的なテクニカル分析である「移動平均線」「MACD」の仕組みや手法を基礎から分かりやすく解説していただきました。動画と本ページ解説を併せて是非ご活用ください。

 

【前編:移動平均線】23分12秒    【後編:MACD】16分36秒
 

(解説動画収録:2020年3月)

 

FXトレードの基本的な流れとは

FXで利益を得るには、為替レートが今後「上がるか」「下がるか」を予想する必要があります。

FXは買いからも売りからも取引ができるので、上がると思えば「買い」、下がると思えば「売り」を行いますが、何の根拠もなしに勘だけで取引しても思うような成果は出ません。

FXで安定して利益を得るためにはトレードの型を覚える必要があり、以下のようなステップを踏むことを意識しましょう。



  相場環境認識(「何をするか(買・売・様子見)」を決める)

【相場環境を認識して適切な選択肢を取る】

一見複雑に動いているチャートですが、大きく分けて「上昇トレンド」「下降トレンド」「横ばい(トレンドなし)」の3つの状態に分けることができます。

 

 

そして、トレードの第一歩は、現在のチャートが3つの状態の中でどの状態になっているかを知ることです。

現在の相場環境が分かれば、自然と投資家が取るべき選択肢も決まります。"上昇トレンドであれば買い"、"下降トレンドであれば売り"、"横ばいであれば難しい相場状況なので様子見"が最善の選択肢となります。

トレンドの方向に逆らう「逆張り手法」もありますが、リスクも高くトレンド転換を予想するには高度なスキルも必要なため、まずは現在発生しているトレンド方向に取引をする「順張り手法」を学びましょう。

 

  エントリーポイントの選定(「いつ」トレードするか決める)

【エントリーポイントを選定する】

ステップ1で相場環境認識をして取るべき選択肢が決まったら、いつでも適当なタイミングで「買い」「売り」を行って良いわけではありません。

今度は、より細かなチャート分析をして「いつ買うか」「いつ売るか」のタイミングを計っていくのです。

これにより、より勝率の高いポイントだけに絞ることができます。そして、ステップ1の相場環境認識とステップ2のエントリーポイントの選定で役に立つインジケーターが「移動平均線」と呼ばれるものです。

 

  徹底した資金管理(「いくら」損・利益が出たら決済するか決める)

 

今回はSTEP2記載の「移動平均線」と、その発展形のインジケーターである「MACD(マックディー)」について解説をしていきます。

 

 

移動平均線について


移動平均線とは「過去一定期間の価格の平均を結んだ線」のことです。

例えば、期間20の移動平均線であれば、過去20本のローソク足の終値を全部足して20で割った値を結んだ線になります。

 

 

移動平均線でよく使う期間は以下の通りです。短期で1つ、中期で1つ、(長期で1つ)を選択して使います。

短期:15、21、25
中期:50、75、100
長期:200

 

■移動平均線の使い方

移動平均線の使い方はいたってシンプルです。

まずは、現在の相場環境を認識するために移動平均線の「向き」に注目します。

移動平均線が下向きであるということは、過去一定期間の平均値が下がり続けていることを意味しており、相場環境は下落トレンドとみなせます。同様に、移動平均線の向きが上向きであれば、平均値が上がり続けていることを意味し、相場環境は上昇トレンドとみなせます。一方、移動平均線の向き横向きであれば、買いと売りが拮抗しており、トレンドが無い状態で横ばいとなります。

現在の相場環境が分かれば、狙う売買方向も決まります。

 

では、次に「いつ」エントリーするかですが、エントリーポイントを選定するためは移動平均線とローソク足の「位置関係」に注目です。

これは「グランビルの法則」という移動平均線の手法で、買いのポイントが①~④売りのポイントが⑤~⑧です。

【買いのエントリーポイント】
①移動平均線が下向きから「横向きまたは上向き」へ変化した場面でレートが上抜け
②移動平均線が「上向き」の場面でレートが下へ離れて反発
③移動平均線が「上向き」の場面でレートが上から下へ近づき反発
④移動平均線が「下向き」の場面でレートが下に離れて反発

【売りのエントリーポイント】
⑤移動平均線が上向きから「横向きまたは下向き」へ変化した場面でレートが下抜け
⑥移動平均線が「下向き」の場面でレートが上へ離れて反落
⑦移動平均線が「下向き」の場面でレートが下から上へ近づき反落
⑧移動平均線が「上向き」の場面でレートが上に離れて反発

グランビルの法則に加えて、2つの移動平均線の「クロス」でエントリーする手法もあります。

短期移動平均線が長期移動平均線を下から上へ抜ける時が「ゴールデンクロス」と言って買いのタイミングとなります。一方、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下へ抜ける時が「デッドクロス」と言って売りのタイミングとなります。


ちなみに、エントリーポイントを探す際に使用する時間足は、相場環境認識で使用した時間足よりも短い時間足を使うのがおすすめです(例えば、4時間足で相場環境認識を行い、30分足でエントリーポイントを探す)。

これにより、「森も見てから枝を見る」ことができ、大きな全体像をイメージしてトレードが可能になります。

トレードスタイル 上位足 下位足
 長期トレード  月足、週足  日足
 スイングトレード  週足、日足  4時間足、1時間足
 デイトレード  日足、4時間足、1時間足  15分足、5分足
 スキャルピング  1時間足、30分足  5分足、1分足

■移動平均線のエントリーポイント

それでは、実際のチャートで移動平均線を使ったエントリーポイントを見ていきましょう。

期間21の移動平均線(SMA21)と期間50の移動平均線(SMA50)を使用します。

ケース1

SMA21がSMA50を上から下へ抜ける「デッドクロス」が発生しており、売り1がエントリーポイントです。
その後、レートは下落して再びSMA21の近くに達し、グランビルの法則の⑦「移動平均線が「下向き」の場面でレートが下から上へ近づき反落」でここも売りのポイント(売2)です。

ちなみにaとbは、ローソク足が移動平均線を上抜けしているので、グランビルの法則の①で買いのポイントに思えますが、移動平均線の向きが下向きのままなので買いのポイントにはなりません。
移動平均線が「横向きまたは上向き」の状態で、ローソク足が移動平均線を下から上へ抜けてはじめて買いのポイントになるのです。

 

ケース2

ケース1と同様に、売1はデッドクロス、売2はグランビルの法則の⑦で売りポイントになります。
また、買1はSAM21がSMA50を下から上へクロスしているので買いのポイントになります。買2も、グランビルの法則③「移動平均線が「上向き」の場面でレートが上から下へ近づき反発」に該当するので買いのポイントです。

 

ケース3

相場の世界に「絶対」「100%」という言葉が存在しないように、移動平均線を使って失敗するケースももちろんあります。
例えば、以下のチャートでは、SMA21がSMA50を下から上へ抜ける「ゴールデンクロス」が2回(失敗1、失敗2)発生していますが、いずれもその後に上昇せず、下落しています。
このような時は、スパッと損切りをして次のトレードに気持ちを切り替えていくことが大切になってきます。