鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 ゴールデンウェイ・ジャパン株式会社【2019年4月1日(株)FXトレード・フィナンシャルは社名変更いたしました。】代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

2016年FXTF社長年頭念頭挨拶『2016年の相場予測』

新年明けましておめでとうございます。旧年中はFXTFをご愛顧賜りまして誠に有難うございました。本年が、皆様にとって良い年になるよう心からお祈り申し上げます。

私は、元来外国為替ディーラーとして長らく市場と対峙してきた経験が(1988~2008年)あることから、本年は-「2016年の相場予測」を新年のご挨拶とさせて頂きます。皆様の資産運用の一助となれば幸甚です。


【相場予測】
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・ドル円:上昇
・ユーロドル:下落
・ユーロ円:下落
・ポンド:変化なし(EU離脱の場合下落)
・その他新興国通貨:下落

■ドル円上値は125~130円が目処、下値は118~120円、120円台半ばを中心に上下動
■ユーロドルは、下落、パリティ(1ユーロ=1ドル)を視野に
■ユーロ円は、120円台中心のレンジ、120円割れも想定
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【戦略】
・ドル円:押目買い
・ユーロドル:戻り売り
・ユーロ円:戻り売り


ドル(アメリカ)、円(日本)、ユーロ(欧州)の順に金融政策・金利格差が拡大(ドル:利上げ、円:緩和維持、ユーロ:量的緩和拡大)、米日欧の金融政策格差からドルが上昇。ドル円は125~130円の上値をターゲットにドルが下押しした押目でドルを買い、123、125、128円と部分利食いを繰り返す戦略を推奨します。Max130円。


【ドル:金融引き締め】
2015年12月に7年ぶりとなる「利上げ」がありました。また、FRB議長の“今後段階的に利上げをしていく”との発言もあります。本年のFRB見通しでは4回程度の利上げ示唆があり、0.25×4回で1%の政策金利上昇となりそうですが、現時点のマーケット(市場全体)は、イールドカーブの形状から判断すると本年度の利上げは2回くらい緩やかな利上げを織り込んでいます。現時点でマーケットは次回の利上げを、3月の利上げはなく、次の6月に利上げを織り込んでいるようです。FRBにより4回の示唆がありますが、経済状況を見ながらFRBは利上げ回数を変更してくるはずです。

米国労働市場は、改善されつつありますが、一方で不安材料も表面化してきました。それは「原油の下落」です。現在、WTI原油価格は、1バレル30ドルくらいで、これは2000年初頭くらいと同様です。今後はこの値で推移するか、もう少し落ちる可能性があると考えています。その根拠ですが、「中国景気減速」が主な理由です。

中国景気が減速して、中国の原油需用が落ち込み、原油供給過多になっているというシナリオです。このしわ寄せは、新興国市場へ大きな影響をもたらします。商品価格が下落し、対ドルで自国通貨安になっていき、インフレ懸念が台頭してきます。このような状況で、新興国は自国通貨防衛目的で利上げを余儀なくされる可能性が高くなります。何故なら、米国の利上げに対して自国通貨安に見舞われる新興国はドル建て債務も多く、たとえ国内景気が悪化した状態でも米国に追随利上げをせざるを得なくなります。そうなると新興国の株価は低迷していきます。

アメリカの利上げで新興国市場が減速していけばグローバルな株価低迷に波及し、アメリカ自体にもダメージが出てしまう懸念があるため、そう簡単に米国も利上げは出来ないでしょう。これが、FRBの4回の利上げ見通しに対し、市場が2回の利上げと現時点で織り込む要因です。

2016年は米国の緩やかな利上げから更なる円安の余地(125~130円)はあるものの上値は限定的で、これまで80円台からの上昇幅が大きいことと、130円近辺ではグローバルな投機筋の値ごろ感からのドル売りや本邦公的資金(年金)等の外貨ヘッジのドル売りが想定され、米大統領選挙前後でドル/円の上値ピークを示現すると予想します。


【円:金融緩和維持】
現行の金融緩和政策継続、日銀の追加金融緩和は、あってもあと1回、サプライズ的に夏の参院選前までに行うと予測します。異次元金融緩和でドル円は、80円から125円まで上昇しました。2014年10月31日の緩和(黒田バズーカ砲)はすごかったですね。

日銀の追加緩和政策とセットで公的年金GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオ変更発表で、ドル円は一気に110円割れから120円台まで上昇しました。GPIFは、従来国債運用がメインでしたが、国内株、外国債券、外国株式の比率を上げて運用するという事がポートフォリオ変更の内容です。外国債券、外国株式で運用するという事は円売りとなり(主にドルやユーロ等外貨の買いきり玉)、それは円安を助長することに繋がります。

日本は、金融緩和の対策が既に尽きたと考える人がいますが、私は、まだまだ円安トレンドを下支えする要因があると考えています。

公務員や教職員らが加入している3つの共済年金がありますが、2015年10月よりGPIFの資産運用に追加されたことが一つです(外国証券増加余地は単純計算で10兆円超)。もう一つは、株式上場した日本郵政、主にグループ収益の大半を稼ぐゆうちょ銀行ですが、17年度までにその資産運用内容もGPIFと同様、外株・外債の運用割合を大きく積み増す(10兆円超)計画が発表されました。今年の財務省発表の国際証券フロー統計(推測)によると、4~12月に上記3社の外貨買い越し額は4~5兆円。よって、彼らの外国証券買い余地(ドルの買いきり玉)は依然かなりの額を残しており、当面ドル/円のサポーターであり続けることが期待できます。ただ、彼らは上値の追いかけ買いはしないでしょう。よって、思わぬ展開でドルの下値を模索する場合でも、確実に公的年金等本邦長期資金がドル/円相場を買い支える要因となり、ドル/円の下値は限定的と予想します。


【ユーロ:金融緩和拡大】
ゼロ金利政策継続、量的金融緩和はさらに拡大するでしょう。欧州経済は緩やかな回復地合を辿ってきたが不穏な新興国情勢が懸念の種(地政学的リスク)となってきました。

先日、ISによるパリ同時多発テロがありました。仏・英の報復措置の発動をきかっけに今後ユーロ圏としては対IS対策として莫大な資金が必要となり、金融緩和を継続し拡大していかなければなりません。今回のテロ事件で、ドイツですら金融緩和に反対しにくくなるでしょう。

一方、ユーロ圏のCPIはECBの2%目標に遠く届かないままインフレ懸念の心配はありません。また、テロ対策関係で政治的に欧州が米国に接近する見返りとして、ユーロ下落は米国に受け入れられることとなるでしょう。

ECBは今後金融緩和の強化(マイナス金利幅の拡大、QE期間延長、債権購入額増額、下限金利撤廃等)を断続的に図るとともに市場は積極的な緩和措置を織り込んでいくでしょう。向こう数ヶ月以内にパリティ(1ユーロ=1ドル)、ユーロ円では120円割れを示現すると予想します。



以上が、私の2016年相場予測となります。
本年もFXTFをどうぞよろしくお願い申し上げます。


ゴールデンウェイ・ジャパン株式会社【2019年4月1日(株)FXトレード・フィナンシャルは社名変更いたしました。】
代表取締役社長 鶴 泰治



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