鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 ゴールデンウェイ・ジャパン株式会社【2019年4月1日(株)FXトレード・フィナンシャルは社名変更いたしました。】代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル相場予測

120-125円レンジ相場の中、ドル堅調上値トライの展開

  11月のドル円相場は、主に121~123円を中心とした狭いレンジ相場で膠着、12月のECB理事会(12月3日)及び米FOMC(12月15-16日)の金融政策変更の有無を待つ展開に終始しました。月初の10月米雇用統計が予想外の強さを見せ、12月米利上げの可能性がにわかに再浮上し、ドル買いとなって8月下旬以来の123円台に突入。その後パリ同時多発テロを受け、リスクオフムードから非難通貨の円買いとなってドルが下落、一旦122円台前半を示現したものの影響は限定的であった。逆にユーロ売りドル買いがドル円相場でもドル買いとなり、月央のFOMC議事録の結果が12月利上げを後押しする内容であったことを受け、ドル円は123.77まで上昇。その後は米国感謝祭休場の中、12月イベント待ちの123円挟みで膠着しました。

今後は12月3日のECB理事会、4日11月米雇用統計、15-16日FOMCを控え、ユーロの緩和策及び米利上げの意思とその有無を見定め、米欧金融格差を意識した市場となりそうです。

 現時点で12月FOMCでの利上げは75%ほど折込済みであるがその前のECB理事会での追加緩和策や今後の追加緩和策の可能性次第では思わぬドル買い(ユーロ売り、円売り)が想定されます。しかし、ことドル円に関しては、たとえユーロ売りから波及するドル買いとなっても上値の目処は125円程度と予想します。

 その理由は、1、グローバルなドルの買い持ち(円の売り持ち)ポジションは11月6日の雇用統計後4週連続で増加となり、ピーク時の8~9割程度まで積み上がっていること。その持ち値の約50が121-123円台と120円割れのドルの安値圏では買えてないこと(平均持ち値が悪いこと)。
2、今回の米利上げペースは過去の米利上げ時期と比べて非常に緩やかなペースでの利上げであることが現時点で想定されていること(市場は今回の利上げを含め2016年末まで3回程度の利上げしか織り込んでない)。
3、過去の米国利上げ局面では最初の利上げが発表されるとその後ポジション調整から必ずドルが売られて(円買い)いること。4、当面日銀の追加緩和策が出てこないことが想定されていること。
以上の4点からドルが買われた局面の124~125円台はかなりのドル売りが待ち構えていることが想定されます。

 一方、下値の目処は、120円割れはほとんど期待できません。逆に予想に反してドルの上値トライがなく、ポジション調整のドル売りが先に出て、もし仮に120円割れが示現されればそこは絶好のドルの拾い場(買い場)となるでしょう。ドルの押目で本邦機関投資家(年金マネー)のドル買いきり玉が出てくる環境に変化はありません。目先は短期売買(ドルの上値で部分売り、下値でドルの買戻し)にてドル買い持ちポジションの持ち値を改善しドル買いポジションを増やしながら、中長期的に125-130円で利食いを狙うポジション運営を推奨します。

ユーロ相場予測

ユーロ戻り売り(1.07以上の戻り売り、1.05近辺及び以下で一部利食い)

 ユーロ相場は10月のドラギ総裁による12月ECB理事会での追加緩和策の発言を受け終始軟調に推移。パリの同時多発テロにてユーロの売りが更に加速。今年春以来のユーロ・ドル1.05台を示現。今後の焦点は12月3日のECB理事会での緩和策、マイナス金利幅とQEの拡大に加え、今後の更なる追加緩和策の可能性を示唆するかどうかです。

 一方、米国は15-16日のFOMCでの利上げが予想されており、米欧金利差拡大からくるリスクオンによる株高・ユーロ安ドル高進行が予想されます。パリ同時多発テロにて、対テロ戦争の戦費がかかるため、ECBの金融緩和は本格的にならざるを得ないし、ドイツも反対しにくくなっています。また今回の対テロ戦争にて政治的に欧米が接近しており、ユーロ下落は米国にも政治的に受け入れられる環境にあります。今後の為替市場はユーロ・ドルが主役となりそうです。ドル買いに対し、円よりもユーロの方がより弱くなりやすい環境にあります。

 ユーロ・ドルは今年春に2回止められた1.05を割れると一気にユーロ売りが加速、3月に示現した1.0457が目先の下値目処となり更なる下落も想定されます。

 一方、10月のドラギ総裁発言以降、グローバルなユーロの売り持ちポジションもかなり積みあがり、円同様平均持ち値もあまりよくない(1.10以下でユーロの売り持ちを加速させている)。また、ユーロ・ドルオプション市場にて1.05以下は1.03まで段階的にトリガーが集中しており、トリガーを示現させないようにユーロ買いドル売りの防戦買いも大量にでてくることが想定されます。

 防戦のユーロ買いがでてくればユーロの上値はどんどん重くなる(防戦買いしたユーロを売らなければいけない)ため、最終的にユーロは一旦下落の道を辿ることが確実であり、目先はユーロ売り持ちをキープしながらドル円同様、短期売買(1.05近辺でユーロ一部買い、1.07アッパーでユーロ売り)をしてユーロの売り持ちポジションの持ち値を改善させ、1.05アンダーで利食いをかける戦略を推奨します。最終的には来年、1ユーロ=1ドルのパリティを示現してユーロが更に売られていく相場展開に変更はありません。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
ゴールデンウェイ・ジャパン株式会社【2019年4月1日(株)FXトレード・フィナンシャルは社名変更いたしました。】デリバティブ事業グループ シニアヴァイスプレジデント
2009年、ゴールデンウェイ・ジャパン株式会社【2019年4月1日(株)FXトレード・フィナンシャルは社名変更いたしました。】入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

米利上げの有無にかかわらず、ドル円は下落を予想

 11月の為替相場は、米10月雇用統計が良好な結果となったことを受け、年内の米利上げ観測の高まりからドル高となりました。12月は3日にECB理事会、16日にFOMCが予定されており、ECBは追加緩和、FOMCは利上げがあるかが注目されています。

 今後のドル円相場ですが、FOMCまでは底固い動き、FOMC後は米利上げの有無にかかわらず円高になると考えています。1990年以降の米国が金融引き締めに転じた際のその後の為替相場を見てみますと、過去3回とも当日は円安に振れていますが、3回のうち2回は1ヵ月後には利上げ前の水準よりも円高になっています(図表1参照)。利上げ=ドル高(円安)とは単純に判断しないほうが良いでしょう。

 今回の場合ですが、利上げがあった場合、一旦ドルは買われるものの、ここまで米利上げを材料にだいぶ買い進まれてきたこと、今年6月の黒田日銀総裁の円安牽制発言や米財務省の半期ごとの為替報告書からもこれ以上の円安を日米とも望んでいないことなどから、早晩ドル円は下落に転じると思います。ただし今後の更なる米利上げに対する期待に加え、日銀の追加緩和期待もあることから、大きくは下がらず、120円を中心としたレンジ相場になると考えています。

 利上げがなかった場合ですが、この場合は、素直にドル円は下落すると思います。10月に年内の米利上げ観測が後退した際には118.04円まで下げたことから、118円台前半を目指した動きになると思います。マーケットが来年早々の利上げも難しそうと判断すれば、116円台まで下落する可能性もあると考えています。

図表1:米利上げ開始後の為替推移
利上げ実施日 当日始値 当日終値 1ヵ月後の終値 3ヵ月後の終値
1994年2月4日 108.30 109.30 105.57 101.85
1999年6月30日 121.07 121.12 114.55 106.36
2004年6月30日 108.21 108.88 111.46 110.03
※ロイターのレートを元に作成

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