鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル相場予測

レンジ相場ながらもドル高トレンド継続

 予想を上回る3月上旬発表の2月米雇用統計後、上昇したドル円は3月18日注目のFOMCでの予想以上のハト派となった景気・金利見通しを受けて、短期上昇トレンドが一旦剥落。一方で利上げに向かう米国と緩和状態にある日本という金融政策の構図は変わらず、ドル高円安のトレンドを変えるものはないと考えます。

 上値、下値をそれぞれ抑えられたレンジ相場に移行しているものの、上値・下値ともに切り上がり、本邦公的資金(年金マネーと郵貯・簡保運用資金によるドル買いきり玉)が断続的かつ継続的にドル買いとして参入すると予想される117~118円台ゾーンは強固と思料します。

 上値は3月雇用統計後示現した122円台(122.03)が目先のターゲット。年初来高値の120.75(1月2日)を昨年の高値121.86(12月8日)を単なる通過点のごとく上抜けて買い上げられ、ついに2007年7月以来の122円台を示現しました。次回このラインを完全にクリアすると次は2007年6月(6月22日)の高値124.14円という75円台からのいわゆる「全戻し」のレベルが視野に入ってきます。4月29日FOMCで「6月FOMCでの利上げの可能性の有無につき言及されるか」が注目材料となりそうです。前回のFOMCで公表された「経済・金利見通し」では、年末12月のFF金利見通しが1.125%から0.625%まで下方修正されました。0.25%の利上げと仮定すれば、年内2回の利上げがあることを想定した数字と言えます。

 逆に、ドルの上値を抑える要因としては、4月の統一地方選挙に向けて政府サイドから、これ以上の急激な円安を牽制する発言が予想されること。最近、米企業からも同様にドル高批判が増えていること。また、サウジアラビアによるイエメン攻撃が継続する中、地政学的リスクが意識され、円売りがしづらくなる可能性があることなどが挙げられます。しかし、相対的な金利差にもとづくドル買いトレンドは継続すると思われ、ドル上昇トレンドに沿って、基本的にドル買いポジションを保有することを推奨します。短期戦略としては直近高値前後(121~122円)で段階的に部分利食いを行い、押し目の118~119円台でドル買いポジションの構築を繰り返す戦略もワークすると思料します。

ユーロ相場予測

ユーロ下方トレンド継続、パリティも視野。ギリシャ情勢に注目

 3月5日のECB理事会で、ついにECBが量的緩和(QE)を開始。中身はマイナス金利の国債も買い取るという、米国も日本もやってこなかった歴史的なQEを目の当たりした市場は、ユーロ・ドルの売りが加速。1.10の心理的サポートラインを下抜けすると一気に安値1.0458を示現。値幅面からは明らかに対ドルでパリティ(1.00)を目指す展開となっています。

 独、仏をはじめオランダ・ベルギーなど主要国がネガティブ金利となっており、いよいよユーロの毀損がスタートしたと言えます。現在、ECBによるQEを材料としたユーロ売りは一旦落ち着きを取り戻しているが、ユーロ高官からユーロ安に対する目立った言及はみられないこと、ギリシャ問題がくすぶり続けていることからユーロの上値は重たいと思料します。1.10超えでは確実にユーロ売ポジションを構築したいところです。

 ユーロの下値目処は3月安値1.0458を抜けると2003年安値の1.0336。ここを抜けるとパリティが見えてきます。注目材料はギリシャ情勢です。ギリシャ政府は3月27日、経済改革リストをEUへ提出。EU側が求める給与・年金のカットが含まれていないとの報道もあり、4月1日に債権団と電話協議が開催される見通しだが高官発言等から協議の進捗状況次第でユーロ相場の乱高下が予想されます。正式な承認は4月半ばまで遅れる見通しであり(ユーロ財務省会合は4月半ば)、4月中にもギリシャが資金不足に陥るとの見方は強く、戻りを丁寧にユーロ売りする戦略で臨みたいです。

 ギリシャ国内では選挙公約に反するチプラス政権への批判が高まっており、日程的にはギリギリの交渉が予想されます。ユーロ円も下降トレンド。130円を下抜けし、対ドルでパリティを目指すでしょう。ユーロ安は円安の進行を凌いでおり、想定よりも早く120円台を下回る公算もでてきました。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャルデリバティブ事業グループ シニアヴァイスプレジデント
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

長期ドル高の流れは不変も、目先はレンジ相場を予想

 3月のドル・円相場は、米雇用統計の好結果を受け早期(6月)利上げ観測が高まり、12月高値121.85円を超えて一時122.03円まで上昇する場面がありました。しかし18日のFOMC声明発表後は、早期利上げ観測が大きく後退したことから上値が重く、結局はレンジ内での動きが続きました。

 目先は、利上げ後ずれ観測が強いことやドル高による米企業収益悪化が懸念されていることから、引き続きレンジ相場に終始すると考えておりますが、あくまでも早期利上げの可能性が低くなっただけで、利上げが年内に実施される可能性は高いと考えられるため、長期的なドル高の流れは変わらないと考えています。

 現在のレンジを抜ける場合は、上抜けする可能性が高いと考えています。そのため、ドル・円は押し目買いを狙っていく投資スタンスが良いと思います。118円台に下落する局面では、積極的に押し目を拾っていきたいところです。

 ユーロ・ドルに関しても、ドル・円と同様に強いドルの流れは変わらないと考えています。但し、3月に大きく下落したことや今回の利上げ時期の後退観測を受けて、目先は調整の動きとなるのではないでしょうか。調整終了後は再び安値を更新していく動きが考えられるため、戻り売りスタンスで臨み1.09台では、新規売りを検討したいところです。

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