鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル相場予測

これまで続いたドル買いトレンドの短期的調整(下押し)

 4月発表された一連の相次ぐ弱い米国経済指標により、足元はドルの上値が重くなりドル売りが継続している。当面ドル円は以下2点の理由から短期的な調整で下落する可能性が高いと考える。29日発表された米FOMC声明文での景気下方修正や30日開催の日銀金融政策決定会合結果による日銀の追加金融緩和観測の剥落。

一方でドルの下押し局面は絶好のドルの買場と想定している。米FOMCで景気判断の下方修正はあったものの政策スタンスに変更なしかつ6月FOMCでの利上げの可能性も残ったかたちとなりました。FRBによる利上げサイクルが今年後半にやや後ずれしたものの中長期的な日米金利差拡大によるドル円上昇トレンドに変わりはありません。

 財務省発表の本邦年金を中心とした公的資金による外国証券投資(外株・外債のドル買いきり玉)は1月以降、毎月1.6兆円平均で外貨を買い越しており、今後数ヶ月も数兆円規模での対外流出が予想されています。これらは今後も円安軌道の強固なサポート要因となるでしょう。

 更に一連のドル売り調整により、6月米利上げを見越して傾き過ぎたグローバルなドル買い持ちポジションは直近ピーク時(昨年12月)の1/3まで縮小。そのため、全般的なドル売りの割に、ドル円が底固い展開となっています。裏を返せば、年内利上げ開始というコンセンサスを背景とし根強いドル買いはポジションが軽くなった分、ドルの下押し局面では出やすくなることも予想されます。

 逆に米国では1-3月期の企業の好決算発表が相次ぐ中(70%以上の企業が利益予想を上回る結果=米株上昇・ドル高要因)、5月のドルの上値を押える要因として、海外勢は6月末の中間決算を控え、(ヘッジ)ファンドの45日ルールなどからは5月中旬に向けて益出し(堅調な米株の売り=ドル売り)が出やすいことが予想されます(「Sell in May」)。

万一このまま米国指標の回復遅れが続けは、市場で「Sell in May」の懸念が浮上するかもしれません。しかし、その場合ドルの下押し局面では上記理由から地道なドル買いを構築する場、ドルの「Buy more in May」を推奨します。目先、ドル円の下値目処は3~4月の安値118.33。これをクリアに下抜ければ2月安値116.66、1月安値115.86がチャートポイント。116~117円台は中長期的ドル高トレンド125円を目指す展開から、絶好の買場と想定します。一方、目先の上値目処は直近高値(3月雇用統計直後に示現)の122.02。5月にFOMCの開催は予定されていません。

ユーロ相場予測

長期的パリティ(1ユーロ=1ドル)を目指す中、ユーロの買戻し先行

 引き続きギリシャ情勢を睨んでのもみあい展開が継続する中、米国利上げ観測の後ずれやギリシャ債務問題の解決に糸口が見出せそうだとの観測から目先、ユーロ買戻し先行の展開を予想します。ギリシャは27日ついに債務交渉チームを再編、ユーロ圏に対して強行派のメンバーを大幅に削減し、1.06台のユーロ・ドルは弱い米国経済指標の発表も合いまって、1.12直前(1.1188)まで大きく買い戻される展開となりました。

 ギリシャは20日に地方公共団体や一部国営企業等が抱える余剰資金を中央銀行に移管する法的措置を発表し、4-5月の公務員給与や国民年金などの支払17億ユーロや5月12日に予定されるIMFへの約8億ユーロの債務返済の目処をつけました。

 一方でこうした苦しい台所事情を懸念して、ギリシャの長期金利も大きく上昇。ギリシャ10年債利回りは14%近くまで上昇し、危機感はますます高まっているのが現状。24日に開催されたユーロ圏財務省会合では、ギリシャ向け支援実行につき合意できず、判断は5月11日の次回会合までずれ込む見通しです。

 ギリシャが4月末までに提出する構造改革案がEUに認められれば、72億ユーロの金融支援が実行されることになっており、6月のIMFへの16億ユーロの返済、更には7^8月のIMFとECBへの計約70億ユーロの返済に対して、同国の資金が最低6月までは持つとの見解もあり、これらに対してギリシャとユーロ圏の交渉動向が引き続き注目材料です。

中長期的にパリティを目指したユーロ売りのグローバルなポジションは依然として最大規模に近いため、当面はドル売り要因でユーロ買戻しによるユーロの戻りを目指す展開を予想します。一方でユーロの構造的な毀損の展開に変更はなく、戻りを丁寧にユーロ売りし、交渉が決裂しユーロが売られる場面では買戻しを入れユーロ売りポジションを軽くする短期売買もワークすると思料します。ユーロの目先の上値目処は1.12をクリアに上抜けすれば2月高値の1.1534。逆に下押しした場合、1.06~1.08台は底固いと予想します。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャルデリバティブ事業グループ シニアヴァイスプレジデント
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

ドル・円はレンジを下抜けし、116円台へ下落すると予想

 ドル・円相場は3月下旬以降、119円を中心としたレンジ相場が続いていますが、4月16日にIMF・世銀会合のパネル討論会でフィッシャー米FRB副議長が「最近のドル高、そう遠くない将来に終わる」との見方を示したり、4月19日には日銀の黒田総裁が「ドル相場がこれまでのように上昇を続けるとは思わない」との見通しを示したりなど、ドル高牽制・円安牽制発言が出てきていることから、今後はレンジを下に抜ける確率が高いと思います。ただし、日米両国の金融政策の方向の違い(ドル=引締め方向、円=緩和方向)から深押しは考えておらず、116円付近で下げ止まった後は、今より一段下のレンジ(116円~118円)でのレンジ相場になると予想しています。今後の投資戦略としては、3月26日の安値118.33円を割り込むまでは119円を中心としたレンジを念頭に119円台での新規売り・118円台半ばでの利食いを行い、118.33円を割り込んだ後は116円台を目標に新規売りを行うのが良いと思います。

 ユーロ・ドルに関しても、ドル高牽制発言が出てきていることから、一旦ドル高修正の流れになると考えています。ただし、金融政策の方向の違い(ドル=引締め方向、ユーロ=緩和方向)から、長期的なユーロ安・ドル高の傾向は変わらないと思います。短期の方向性と長期の方向性が逆であるため、無理して取引せず、ユーロ安が再開するまで静観するのが良いでしょう。

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