鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル相場予測

新たなるドル買いトレンドスタート、ドルの押し目を拾う展開

 4月中旬以降の相次ぐ弱い米国経済指標の発表が続き、ドルの下値を伺う展開が続いたにも関わらず、119円の下抜けは一時的に留まり、ドルの底堅さを示しました。海外勢中心の投機的円売り(ドルの買い持)の巻き戻し分は本邦年金、公的資金(郵貯・簡保)等長期資金のドル買い(買いきり玉)によってすべて吸収されました。需給面から見てドル円の底堅さが際立っていることを確認できた5月でした。

 逆に月後半に市場の予想を上回る米経済指標が相次いで発表され、年内利上げを正当化するイエレンFRB議長の従来の発言を踏襲したこともドルのサポート要因となり、グローバルにドルの買い持ちが少量だったことも起因して、ドル買いは一気に加速。年初来高値(122.04、3月示現)を上抜けすると2007年6月の重要なレジスタンスであった高値124.14をも上抜け更新、124円台半ばまで買われ2002年以来の高値を更新しました。

 2007年(6月)の高値124.14をトップに円高局面が展開され、円は75円台まで買われ、2011~2012の75円~85円のレンジを上抜けしてその後円安局面となり、いよいよ全戻しを遂に達成。今後、今年前半足踏みした米経済指標のリバウンド、海外投機筋の大幅に減らした円売り(ドル買い)の再構築、本邦長期資金の継続的なドル買いが重なる可能性が高くドルの上値を試す展開となりそうです。目先は心理的レジスタンスである125.00円を抜ければ次の節目水準は2002年12月5日に示現した125.73水準が意識されるでしょう。

 一方、ドルが下押しした局面では本邦長期資金が確実にかつ継続的にドル買いをしてくることが想定され下値は限定的とみます。120円を挟んだレンジ相場がようやく終焉を迎え新たなるドルの上値を試す展開、120~125円のレンジ切り上げ値固めに入った相場展開を予想します。6月FOMCでの利上げ期待は剥落しているもののサプライズには要注意。FRB動向の焦点は利上げの時期ではなく、どうやって利上げにもっていくのか(ドル買い要因)に移行しています。

 本邦長期資金のうち、年金マネーはドルが売られたところを確実にかつ継続的に拾う(ドル買い)構造は今後も年初からと買い金額とほぼ同量で今後も9月までは出てくることが確実視されています。更に先行している年金マネーよりも大きな郵貯マネーが同時に落ちたところを拾う姿勢で待ち構えていることを考えると目先ドルの下値(120~122円)は強力サポートと思料。落ちたところを確実にドル買いしたいです。当面は怖くて買えない相場展開に入っていくことになりそうです。

ユーロ相場予測

長期的ユーロ下落基調に変化なし、戻り売りスタンス

 ユーロは引き続きギリシャ問題に一喜一憂する展開が継続。グローバルな投機筋のユーロ売り持高は5月のユーロ買戻し局面(1.1467までユーロ買いドル売り)で少し減少したものの、この半年間では以前、持高の高値圏にあります。そういった意味ではギリシャ問題の進展次第ではユーロの戻り1.150超えも再度試す局面も想定されます。

 一方、ECBはユーロ圏の休暇シーズンにあたる7・8月にかけて債権市場の流動性が大幅に低下することを理由に5~6月の資産購入を加速させることを発表(5月19日)。これを受け市場ではユーロ及び欧州金利が大幅に低下し、為替市場ではユーロ売りが加速する展開、再度1.10を割れてきました。ギリシャ政府は6月5日にIMFへの約3億ユーロの返済が予定されています。IMFへの返済をするためには、同政府は数日中に国際債権団と合意する必要があります。一方で市場には追加支援が困難との噂もあり、目先ユーロドルは引き続きギリシャ関連報道の影響を受け、ドルに対して上下動に振れ幅を広げる展開が続くことを見込んでいます。一方、中長期的には米国(利上げ方向)とユーロ圏(量的緩和継続)の金融政策の方向性の違いからユーロはドルに対して下落基調が続くことには変わりなく、当面戻り売りスタンスで臨むことを推奨します。

 目先のレンジは1.05~1.15。ユーロの上値目処は2週連続して到達できなかった1.15をきれいに上抜けできるかがポイント。逆に下値のターゲットは年初来安値の1.0458。グローバル市場のポジション持高は相変わらず大幅なユーロ売り持に傾いていることから、戻り(1.12~1.15)を丁寧に売って、ユーロが買われた局面(1.05~1.08)では買い戻す短期売買も奏功すると予想します。原油相場上昇やユーロ圏物価指数が上昇してユーロ圏金利が上昇する場合は(ユーロ高ドル安)絶好のユーロの売り場でしょう。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャルデリバティブ事業グループ シニアヴァイスプレジデント
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

基本スタンスはドル買い。ユーロ・ドルに投資妙味

 ドル・円相場は2015年3月10日にアベノミクス開始以降の高値122.03円を付けた後、119円を中心としたレンジ相場がしばらく続いていましたが、米4月CPIコア指数が市場予想を上回ったことや、イエレンFRB議長の「今年中に最初の利上げを行うのが適切」といった発言をきっかけに、年内の米利上げ観測が高まり、5月下旬には122.03円を超えて124円台まで上昇しました。前回の円安局面の終点である2007年6月の高値124.14円も超えてきており、市場では125円から126円を次の上値メドと見る声が出始めています。

 米利上げ時期の見通しは米経済指標の結果によって常に変動しており、今後も米利上げ時期の見通しが後退した局面ではドル・円は弱含むでしょうが、遅かれ早かれ利上げがあることはコンセンサスですので、基本的にはドル買いスタンスで臨むのが良いと考えています。押し目は積極的に拾っていきたいところです。

 ユーロ・ドルに関しても、米利上げを念頭にドル買いスタンスで取り組むのが良いと考えています。高値圏にあるドル・円に比べ、ユーロ・ドルは2015年3月16日につけた直近の安値1.0458までそれなりの値幅があることから、投資妙味はドル・円よりもあると思います。1.05付近を目標に売りから入ってみてはいかがでしょうか。

バックナンバー

鶴のヒトコエの過去の記事を確認できます。

【ご注意】
  • 本ページは、投資判断にあたり参考となる情報の提供を目的としており、金融商品の売買を勧めるものではありません。投資の最終的な判断はお客様ご自身の責任でされるようお願いいたします。
  • 本ページでは、当社が信頼できると判断した情報を紹介しておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当サイトに基づいて被ったいかなるトラブルや損失・損害等についても、弊社及び情報提供元は一切責任を負うものではありません。