鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル相場予測

黒田レンジ(122.50-124.50)をコアとしたレンジ相場

 7月のドル円相場は、月央までのギリシャ債務・中国株式懸念が起因した質への逃避による円買い(ドル売り)により、120円台半ばまで下落したものの(7月安値120.41)、心理的サポートラインである120円を割るには至りませんでした。その後ギリシャ支援合意及び上海株式市場の下げ止まりとともに大量のドル買いの巻き戻しがグローバルにポジション調整され、急転、今度はドルの上値を試すものの黒田レンジの上限近くで頭を抑えられ(高値124.48)、月末のFOMCを迎えました。

 FOMCでの政策変更はなかったものの、景気認識をやや上方修正し、労働市場の改善が進めば利上げすることを示唆する声明文でした。ギリシャ・中国問題が経過観察ステージに移行し、今後のドル円市場の焦点は米国経済指標の動向とそれに連動した次回9月FOMCで利上げを織り込むかどうかに戻りました。

今後は9月FOMCまでの1ヵ月半の米経済指標の結果を見ながら、ドル円は黒田レンジ(122.50-124.50)をコアとした「利上げ通貨であるドル」が選好される地合が続くと予想します。

目先の上値の目処は黒田レンジの上限(6月10日の高値)である124.63。それをクリアにブレイクすると12年ぶりの高値である6月5日に示現した年初来高値の125.86が意識されるでしょう。

 しかし、ここをトライするにはよほど強めの米経済指標の発表が相次いで9月FOMCでの利上げを織り込んでいかないとかなり難しいと判断します。一方、下値の目処は黒田レンジの下限近辺の122.50.7月上旬の上海総合株価指数の大幅下落とギリシャ債務問題が同時に発生して極度のドル売りになった局面でもドル円は120.40付近で下げ止まりました。ドルが売られた局面では相変わらず、本邦長期資金(GPIF,公的年金、郵貯銀行)いわゆる一種の公的買い支え玉(ドル買い)が確実に出てくる地合は最低9月末までは報告されています。また、ギリシャや中国株下落などで不透明感が強まった過程で比較的市場のリスクポジション(ドルロング、円ショート)が軽くなっているでしょう。今後の相場展開次第で、ドルの高値追いもしくは下落局面でのドル買い円売りのもう一段のグローバルなリスクポジションの積み上げは十分顕在化することが予想されます。以上から120円割れは想定できません。

ユーロ相場予測

米利上げ観測からユーロ下落基調、戻り売り(1.11~1.12)スタンス

 ユーロはギリシャ支援合意により、目先のユーロ圏からの離脱の可能性もなくなり、今後はギリシャが厳しい財政政策を行っていくうえで、ユーロ圏全体としてデフレ圧力がかかりやすい状況となっています。

ユーロの金融政策は引き続き緩和的な状況が必要となり、利上げが視野に入る米国との金利差に再度焦点が戻ることから、当面ユーロは対ドルで軟調な展開を予想します。ユーロの戻る局面(1.11以上)で丁寧にユーロ売り(ドル買い)をする‘戻り売り’戦略を推奨します。予想レンジは1.08-1.13。目先、下値の目処は7月に何度も止められた1.08近辺。

 一方、リスクは中国株式市場。落ち着きを取り戻している中国株式市場は中国政府が7月に打ち出した執拗な株安救済策にも関わらず、戻りは限定的で、以前として下値余地が燻っている状況です。中国株式市場の調整(下落)が今後も継続するようであれば、グローバルな株式市場下落に伝播し、逃避通貨としての円やスイスフランの需要(買い)が一層高まる局面は今後も十分に想定できます。その場合、米国株式市場下落からくるドル売りが顕著に表面化し、対ユーロでもユーロ買いドル売りが先行するでしょう。状況次第ではユーロの戻り高値1.14~1.15を試す展開も十分視野に入れておくべきと思料します。

 中国株式市場については、中国当局のなりふり構わぬ対策を受けて、既に株式市場として“機能しなくなっている市場”へ再投資する意味は既になくなっています。今後も中国当局の株買い支えで、株価が戻ったところにグローバルな投資家から売りが持ち込まれるといった動きが繰り返されることが想定されます。当面、中国株式市場の上値は重たく戻りは限定的で、下値暴落リスクの方が圧倒的に大きいでしょう。その点で思わぬユーロ買いドル売りになって、ユーロの戻り高値をトライする局面があれば絶好のユーロ売りチャンスと想定します。中長期的なパリティ(1ユーロ=1ドル)を目指す方向性に変化はありません。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャルデリバティブ事業グループ シニアヴァイスプレジデント
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

米ドル円は引き続き122円~125円のレンジ相場と予想

 7月の米ドル円は、上海株式市場の急落により7月8日に120.38円まで下落する場面があったものの、その後は直近のレンジである122円~124円台での動きに終始しました。7月27日には、上海株式市場が1日の下げ幅では2007年以来となる8%もの下落となりましたが、米ドル円は122.98円までしか下がらず、底固い様相を見せています。8月の米ドル円相場ですが、早ければ9月にも米利上げが予想されていることから、これまで以上に米経済指標の結果や要人発言に対し一喜一憂する動きになるでしょう。ただし、米利上げ時期について明確な答えを見出すことは困難なことから、結局はこれまでの122円~124円台を中心とした動きになると考えています。引き続きレンジ相場を想定した売買を手掛けていきたいところです。

 ユーロ・ドルに関しては、ギリシャ問題は一旦落ち着いたものの、問題を先延ばしにしたことにすぎないことから、今後の方向性としてはユーロ安米ドル高を予想しています。ただし、ギリシャ問題は落ち着いたばかりであるため、すぐにユーロ・ドルが下げるというよりは、しばらくは横ばいの動きになると想定しています。ユーロ・ドルが上昇した局面では、新規売りから臨むのが良いと思います。

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