鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル相場予測

9月利上げを想定した120-125円レンジ相場に回帰

 8月のドル円相場は、11日に中国人民銀行による人民元切り下げを受けたドル買いで一時125円台前半まで上昇するも、中国発のグローバル景気への先行き不安から世界的な株安となり、NYダウ平均が1000ドル急落するなど、為替相場ではドル売り・円高・ユーロ高に相場が一方通行に一気に動意し、ドル円は一時1月以来となる116.15円まで下落しました。その後中国の株価対策により株式相場が落ち着きを取り戻し、世界的な株式市場が巻き戻し優勢となる中、市場予想を上回る米経済指標の発表もあり、米景気回復基調の期待感が醸成されたことで米株高・金利上昇・原油高などを背景にドル高が継続、ドル円は121円台まで戻す展開となりました。

今後は9月のFOMC(18日)でFRBが利上げに踏み切るかどうかが焦点です。中国景気の減速がFRBによる利上げを遅らせるとの見方が材料視され、一時的なドル売りに繋がったものの、足元米経済は堅調さを維持している指標が相次ぎ、個人的には9月の利上げの可能性は高いと想定しています。

 9月4日発表される8月米雇用統計など米指標が強い結果となれば、9月利上げが再度意識され、ドル円は125円を目指す展開になるでしょう。8月半ばの中国発リスクオフ(リスクを落す動き)は、これまで米利上げ動向が意識される中で、ここ数ヶ月で積み上げられたポジション(ドル買い持ち、円売り持ち、ユーロ売り持ち、株買い持ち)の巻き戻しが急速に起きたことが要因でしょう。ドル円は24日NY時間に2分間で2.5円以上急落(118円後半から116.15円に)したもののその後は急速に値を戻し25日には120円台まで反発しました。

 これらはポジションのロスカットのクライマックスによる動きと考えられ、更なる悪材料がない限り116.15を下回る可能性は少ないでしょう。一方、中国株式市場は一旦株価対策として金融緩和措置などで相応に打たれているものの、具体的な財政金融を総動員した景気対策がなければ、先行き不透明感の払拭には繋がらないでしょう。

 再度中国発リスクオフ相場が発生する、もしくは米経済指標が市場予想を下回る発表が相次ぎ9月の利上げを見送る相場となるなど、120円を下回るドル売りの展開となれば、そこは(118~120円)ドルの絶好の買い場と考えます。FRBによる年内利上げ、日銀の金融緩和継続という基本的な構造に変化はありません(日米金利差拡大によるドル買い円売り展開)。

 当面為替市場はボラタイル(価格変動の激しい神経質)な市場が続きそうだが、年内利上げを想定した再リスクオン(リスクを取る動き)を背景に再び120-125円レンジに回帰する相場を予想します。仮に9月FOMCで利上げが決定された場合、利上げ後の相場展開として、過去の利上げ局面では一旦ポジション解消のドル売り円買いが発生してドル売りの流れになる展開であるが、今回の局面では既にポジション解消の動きが中国発リスクオフ展開で相当程度出ているため、ドル売り円買いの動きは限定的と考えられます。いずれにせよ、ドルが急激に下押して売られたところはしっかりとドルを買って、年後半から来年度にかけた125-130円レンジ相場に備えたいです。ドルを買えていない人は多いでしょう。

ユーロ相場予測

9月米利上げ観測から、戻り売り(1.13~1.15)スタンス、ユーロ売り積み増し

 ユーロは人民元切り下げを背景にFRBによる利上げが遅れるとの見方がドル売り、ユーロ買いを誘発。世界的な同時株安が進む8月24日、ドル円が120円を割れて116.15円まで急落する中、ユーロドルも1.13台から一気に今年1月以来の1.1713まで上昇しました。その後相場の落ち着きとともにドルの急激な買戻しが出て、ユーロドルは1.11台まで戻す展開となりました。今後はドル円相場と同様にFRBによる9月利上げを想定したドル買いに市場が動意することで相対的にユーロは売られやすくなる展開を予想します。

 ユーロは8月14日、ユーロ圏財務相会合にて、ギリシャへ向け第3次支援を巡る協議が合意に達しており、目先の焦点は9月FOMCに向けた対ドル相場に終始しそうです。当面1.10~1.15レンジ相場に落ち着きそうであるが、中国発リスクオフ相場やFRBによる利上げ見通しが薄れ、ドルが急激に売られる展開(1.15以上)があれば、確実にユーロ売りドル買いを積み上げておきたいところです。利上げが視野に入る対円同様にユーロも米国との金利差に市場の焦点は一旦戻ることから、当面ユーロ軟調の展開を予想し、ユーロの戻り売り(1.13~1.15)を推奨します。

 仮にFRBによる利上げがあった場合、ユーロの下値の目処は7月以降何度も止められた1.08近辺。短期相場変動に着眼した機動的な短期売買であれば1.10割れは一旦利食いをしておきたいです。市場は8月の中国発リスクオフ相場により、グローバルなユーロ売り持ち高ポジションはかなり剥ぎ落され縮小しています。その後のユーロ売りドル買いの戻しも急ピッチだったことからユーロを売れていない参加者はドル円同様かなり多いでしょう。ユーロがギリシャを筆頭に南欧諸国などマイナス金利を示現してでも金融緩和して景気下支えをしなければいけない、毀損しはじめた通貨であることに変わりはなく、以前中長期的なパリティ(1ユーロ=1ドル)を目指す方向性に変化はありません。ユーロの戻りがあれば確実にユーロ売りのポジション積み増しを推奨します。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャルデリバティブ事業グループ シニアヴァイスプレジデント
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

9月米金利は据え置きを予想。一時的にドル安も、その後はドル高か

 8月の米ドル円相場は、中国経済の先行き懸念に端を発した世界的株安を受け、リスクオフの動きが強まり、一時116.46円まで急落する場面が見られました。現在はひとまず落ち着きを見せ、米ドル円は半値戻しの水準を回復し、121円付近での動きとなっています。今回の世界的な金融市場の混乱を受け、米9月利上げ観測は大幅に後退しており、9月の利上げは見送りなるとなる公算が大きいです。9月に利上げが行われなかった場合、米ドル円は一時的に下落することが予想されます。しかし後ずれするにせよ、いずれ米金利は引上げられる可能性が高く、そのため金利据え置き発表で一旦売られた後は、今後の米金利引き上げを材料に再びドル買いの動きになるだろうと考えています。そのため、基本的に米ドル円は押し目買いスタンスで臨むのがいいと思います。ただリスクシナリオの1つとして、中国経済の先行き懸念により、リスクオフの動きが再燃し、大幅円高の動きになる可能性には注意を払っておきたいところです。中国PMIを始め、中国の経済指標には一層の注意が必要でしょう。

 ユーロ・ドルに関しても、8月はリスクオフの動きから、ユーロ・ドルは一時1.1711ドルまで上昇しました。今後の動きとしては、米ドル円と同じく米金利が据え置きとなったタイミングではドル売りになるものの、その後は引締め方向のドル、緩和方向のユーロから、ユーロ売りドル買いの動きになると考えています。ユーロ・ドルは戻り売りで対応するのがいいと思います。

バックナンバー

鶴のヒトコエの過去の記事を確認できます。

【ご注意】
  • 本ページは、投資判断にあたり参考となる情報の提供を目的としており、金融商品の売買を勧めるものではありません。投資の最終的な判断はお客様ご自身の責任でされるようお願いいたします。
  • 本ページでは、当社が信頼できると判断した情報を紹介しておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当サイトに基づいて被ったいかなるトラブルや損失・損害等についても、弊社及び情報提供元は一切責任を負うものではありません。