鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル相場予測

10月FOMCに向け米利上げを市場が織り込むかが焦点

 9月のドル円相場は8月24日の中国発ブラックマンデーで約6円暴落後、8月25日安値118.25から8月28日の高値121.76のレンジの中で方向感を失った動きの中、注目の16~17日に開催されたFOMCは金融政策の据え置きを決定しました。FOMCがハト派色の強い内容となったことを背景に、一時119円台前半まで下落しました。その後、中国景況感悪化に起因する株式相場下落や原油安を背景にリスク回避の円高圧力がかかる一方、FRB高官やイエレン議長が年内の利上げに言及したほか、安倍首相と黒田日銀総裁の会談を受けて日銀による追加緩和が意識されたことから下げは縮小、120円を挟んだ小動きのレンジ相場に終始しました。

目先短期的には10月29日FOMCでの米利上げと中国関係諸リスクを神経質に注視しながら、ややドル高の120円を挟んだレンジ感の強い相場展開を予想します。ただ、確実にいえる事はFOMCでの利上げは、市場への無用なショックを回避するためサプライズな利上げをすることはないでしょう。

 利上げについては‘いつやるのか’が議論ではなく‘どうやってやるか’が焦点となっています。利上げする場合は今後FOMCまでに良好な米経済指標の発表が相次ぎ、米利上げを市場が織り込んでいった場合のみ利上げすることができると予想します。その場合織り込んでドル買いとなったとしても125円には到達しないでしょう。米金利高はグローバル株式市場の圧迫要因となり、同時に円高とも成り得るからです。

 逆に予想に反して弱めの米指標が散見されると利上げを織り込む事は難しくなるでしょう。ただ今後の米利上げ方向と日銀漢和継続のドル高円安構造は基本的な変化はありません。需給面をみても本邦長期資金(年金)の押し目買い継続や10月の日銀追加緩和への一部期待はドル円を下支えする要因であり続けることは確実でしょう。

 またグローバルな投機筋の円売りポジションは9月下旬段階で昨年末ピーク時の1/4まで縮小しており、これまでの米利上げ期待からくるドル高円安圧力を相殺した形となっています。言い換えれば、今後の利上げ観測を意識したドル買い余力は充分にあります。また、円売りポジションの劇的な巻き戻しにもかかわらず、ドル円は120円近辺で驚くべき底固さを保ってきたともいえます。ドルを買えてない人は先月末比、更に多くなりました。120円以下の押し目でドル買いポジションを構築し、短期的には122~123円で部分利食いを繰り返す戦略を推奨したいです。中長期的には120円以下の押し目買いポジションで125円以上の利食いを狙う戦略を推奨します。

ユーロ相場予測

1.10~1.14のレンジ相場。戻り売り(1.13~1.15)継続でユーロ売り積み増し

ユーロ相場はドル円同様、米FOMC(10月29日)に向け米利上げが市場に織り込まれるかどうかが焦点です。市場に織り込まれながらユーロ売りドル買い圧力がかかりやすい、1.10~1.14を中心としたレンジ相場を予想します。

 ギリシャ問題に目を向けると、ギリシャ総選挙(9月20日)にて与党が予想を上回る得票率を獲得し、チプラス政権続投。連立政権の長期化により今後の支援支払いが後ずれするリスクは回避されました。またギリシャ中央銀行発表の8月末預金残高は11ヶ月ぶりに前月比プラスと国外への資金逃避が続く悪い流れにもようやく歯止めがかかってギリシャ問題は一応一段落しました。

 一方、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題を受けてユーロは下落傾向です。またユーロ圏消費者物価指数の伸び鈍化傾向を受けて、ECBによる追加緩和への期待が高まることがユーロ売りに繋がりやすく、FRBの利上げ期待観測のドル買いとの相対としてユーロが売られやすい展開を予想します。

 今後、米国の利上げに向けたスタンスが明確化する方向に変化はなく、ECBの緩和姿勢との差が徐々に強調されていく方向に変化はありません。当面ユーロ軟調地合の中、ユーロの戻りを丁寧に売って(1.13以上)ユーロ売りポジションを構築し、短期的には1.10以下があれば部分利食いを繰り返すユーロの戻り売り戦略を推奨します。米利上げが米株価下落に繋がる可能性も否定できず、ユーロの一方的な下落は想定できない。7月以降何度も止められた1.08を割ることはないでしょう。中長期的には米国との金利差拡大から1ユーロ=1ドルのパリティに向かう相場展開に変更はありません。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャルデリバティブ事業グループ シニアヴァイスプレジデント
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

10月は米ドル円、ユーロ・ドルともレンジ相場を予想

 米ドル円は、6月から8月前半は米早期利上げへの期待感から122.50円から125円の範囲での動きでしたが、中国の景気減速やそれに伴う世界的な景気後退懸念で米利上げ後ずれ観測が強まったことで、現在はこれまでのレンジを一段階引き下げ、120円を挟んで上下1.5円ほどの動きが続いています。年内の米利上げに対する期待感から下値では底固い一方、年内の米利上げは困難との見方もあり上値も重い状況です。

 10月の米ドル円相場ですが、10月のFOMCで利上げが行われる可能性は低く、12月のFOMCまではまだまだ時間があるため、引き続き120円を挟んだレンジ相場が続く可能性が高いと考えています。経済指標の結果により年内利上げの確度が変化することで一喜一憂しながらも、利上げについての明確な答えは出ないため、結局はレンジ内での動きに終始するのではないでしょうか。米ドル円は下がったら買い、上がったら売りのスタンスで臨むのがよいと思います。

 11月のドル円相場ですが、これまでは118.50円~121.50円での動きが続いてきましたが、米ドルが買われやすい地合いを踏まえて120.00円~122.00円での動きになると予想しています。仮に122円を超えた場合には、125円を目指した動きになると考えています。米ドルが大きく上昇する可能性も考慮し、新規エントリーは買いから臨むのが良いと思います。

 ユーロ・ドルに関しても、同様な状況からレンジ相場になる可能性が高いと考えています。直近の高値安値を参考に、1.11から1.14の範囲での動きを想定しています。但し、ユーロ・ドルの場合はECBの年内追加緩和期待も高いため、ユーロ安が進む展開も念頭に取引したいところです。新規取引は売りからのみエントリーするといった方法で取引するのがよいでしょう。

バックナンバー

鶴のヒトコエの過去の記事を確認できます。

【ご注意】
  • 本ページは、投資判断にあたり参考となる情報の提供を目的としており、金融商品の売買を勧めるものではありません。投資の最終的な判断はお客様ご自身の責任でされるようお願いいたします。
  • 本ページでは、当社が信頼できると判断した情報を紹介しておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当サイトに基づいて被ったいかなるトラブルや損失・損害等についても、弊社及び情報提供元は一切責任を負うものではありません。