鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル相場予測

120-125円レンジのドル堅調相場展開。120円以下の押し目買いを断続的に継続

 10月のドル円相場は、月初の9月米雇用統計が予想よりも大きく悪化、その他の米経済指標も振るわず、10月のFOMCはおろか米国年内利上げ開始に向けFED高官の発言内容もハト派的となり、米利上げ観測が来年3月までずれ込む予想展開となり、ドルは下落しました。

一時118.07と118円台を割り込む手前までドルが売られる局面もあったが、22日のECB理事会でドラギ総裁が12月の追加金融緩和を示唆し、ユーロが大きく売られ、ドルは上昇しました。その後中国の利下げを受けてドル買いが加速、ドル円は一時121円台半ばまで上昇するも、120円を挟んだ狭いレンジ相場で終始する中、29日注目の米FOMCをむかえました。

 FOMCは予想通り金利は据え置かれたものの、12月FOMCで利上げを選択肢する声明文が発表されたことでドルは上昇、再び121円台を示現、ドル全面高の展開となりました。目先30日の日銀政策決定会合での追加金融緩和の有無が焦点となっているものの、たとえ30日に追加緩和がなくても、黒田総裁の2%物価目標の達成時期を後ズレさせる報告もあり、追加緩和に向けた地合は燻り続けるでしょう。

 逆にドルは12月FOMC(12/15-16)での利上げ期待が高まっています。これまで同様、米利上げ方向と日銀緩和継続のドル高円安構造に変化はありません。今後は12月までの米雇用指数と物価指数の強弱を見ながら12月利上げ期待の市場織り込み具合と日銀の追加緩和の時期、日米高官の発言を材料にドルが底堅く上昇する展開を予想します。短期的な上値目処は8月24日チャイナブラックマンデー後の戻り高値であり、その後ブレイクできていない121.76。逆に下値の目処として119円割れは期待できそうにありません。

 8月下旬以降、ドル円は119円より下での滞空時間が非常に短く、その間の本邦対外証券投資の金額が今年3月以来の高水準となっており、ドル円が下落する局面では本邦機関投資家、いわゆる年金等長期資金マネーの買いが確実に出てくるでしょう。

 また、グローバルな投機筋の円売り(ショート)ポジションも低水準のまま維持されており、ドルを買えていない人は相変わらず多いでしょう。

逆にサプライズなドル買い円売りとなった場合でも125円を上抜けてドルが加速して買われる展開は想定しづらく、米景気動向による米利上げの条件が順次整うにつれ、120円前後の膠着相場から上抜けし、120-125円のレンジ相場に戻る展開を予想します。目先120円割れは絶好のドル買い場であり、短期的な相場変動に着眼すれば122^123で一部利食う回転売買を推奨。中長期的には120円割れの押し目を確実に拾い、125円以上の円安局面を目指す売買を推奨します。

ユーロ相場予測

1.10以上でユーロ戻り売り。年内パリティも視野に

 ユーロ相場は月初の米利上げ期待後退を受けたユーロ買いドル売りによる1.11~1.15レンジのユーロ堅調相場に終始していたが22日のECB理事会後のドラギ総裁によるサプライズな12月の追加緩和示唆発言により、ユーロが売られる展開が加速、更に月末の米FOMCにて12月の米利上げ観測が台頭しました。

 ユーロドル相場は1.11レベルから一気に1.09割れまで下落しました。12月に向け、ドラギ総裁が強いハト派メッセージを発信した一方、イエレン議長はタカ派の利上げ選択肢を示唆、ECBの利下げと米国の利上げスタンスが明確になったことにより、ユーロ売りドル買いの地合いが更に加速しそうです。

 目先ユーロの下値目処は7月以降何度も止められました1.08。この下値サポートラインをブレイクすると1.05近辺までユーロが売られる可能性も出てきました。逆に上値は1.10アッパー、特にユーロドルの10月膠着相場を展開した1.11~1.15は非常に固い上値抵抗バンドとなりました。

 グローバルな投機筋のユーロ売り(ショート)ポジションも10月上旬のユーロ堅調相場展開により、今年3月のピーク時のおよそ1/3に縮小していました。その後のドラギ総裁によるサプライズ緩和発言により、ユーロ売り相場が加速して下落したため、ユーロを売れてない人はドル円相場のドルを買えてない人同様、かなり多いでしょう。1.10以上の上値戻りがあれば確実にユーロ売りを仕掛けたいところです。欧州と米国の金利差拡大期待が早まれば1ユーロ=1ドルのパリティ割れが年内示現するかもしれません。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャルデリバティブ事業グループ シニアヴァイスプレジデント
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

米ドル円は120円~122円のレンジ、ユーロドルは下落を予想

 10月の為替相場は、前半は米9月雇用統計が予想を下回ったことで年内の米利上げ観測後退から米ドル安、後半はECBの年内追加緩和観測の高まりやFOMCを受けて年内の米利上げが改めて意識されたことからユーロ安米ドル高の動きとなりました。

 今後の展開ですが、10月FOMC声明文を受けて年内の米利上げの可能性が高まったことから為替市場では全般的に米ドル高が進むと予想しています。但し、対円では10月19日に発表された米財務省が半期ごとに公表する為替報告書の中に「円が過小評価されている」との文言が盛り込まれたことで、それほど米ドル高が進まないと考えています。

 11月のドル円相場ですが、これまでは118.50円~121.50円での動きが続いてきましたが、米ドルが買われやすい地合いを踏まえて120.00円~122.00円での動きになると予想しています。仮に122円を超えた場合には、125円を目指した動きになると考えています。米ドルが大きく上昇する可能性も考慮し、新規エントリーは買いから臨むのが良いと思います。

 ユーロドルに関しては、ECBの年内追加緩和観測の高まり、年内の米利上げ観測の高まりからレンジの下限1.11を下に抜けてきました。当局の金融政策の方向性の格差が鮮明になってきたことで、ユーロ売り米ドル買いの流れは今後も続く可能性が高いでしょう。短期的には1.08前半、中長期的には1.05台前半を目指した動きになると思います。ユーロドルが上昇する場面では積極的に売っていきたいところです。

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