鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

 
 

鶴 泰治 ゴールデンウェイ・ジャパン株式会社【2019年4月1日(株)FXトレード・フィナンシャルは社名変更いたしました。】代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

 

2019年ドル円予想レンジ105~115円、春以降「米国経済失速」により“ドル安円高”に基調転換。低ボラティリティ(為替変動)相場継続。

(2018年ドル円相場振り返り): 2018年のドル円相場は日米金利差拡大を背景とした緩やかなドル堅調地合いとなりました。年間レンジはドルの安値104.56(3月示現)~高値114.54(10月示現)、年間変動率は約9.1%と2017年度(9.6%)に続き2年連続で歴史的に変動幅が低い膠着相場で終了。年初113円台でスタートしたドル円相場は米保護主義への懸念、NY株安、米長期金利低下を背景にドルが売られ3月には105円割れまで下落、その後米景気堅調地合に伴う米追加利上げからドル買いとなり10月には114円台まで上昇、年末は111円前後で終了しました。

(2019年ドル円相場予測)2019年の現時点のドル円予想レンジは105~115円です。主要テーマは「米国経済失速」と「低ボラティリティ(為替変動)相場継続」。米国経済パフォーマンスと日本サイドのギャップ縮小によるドル軟調地合いにトレンド転換。FRBによる予想以上の政策引き締め(2018年度は年初3回のFRB予想に対し4回利上げを実施した)、トランプ減税による財政刺激効果剥落(中間選挙の結果、ねじれ議会により今後の政策運営困難)から年後半には米経済鈍化が予想されます。日本サイドは安倍首相、黒田日銀総裁続投による日銀の超金融緩和政策が継続、日本の経済・政策状況に変化がない予想に対して米国経済減速から春以降徐々にドルが軟調地合いとなりそうです(ドル安円高相場へ基調転換)。年間を通してドルの売り持ちを基本戦術として相場に臨むことを推奨します。

1、日米政策金利:米国は2019年FRBメンバーにより2回の利上げが予想されていますが現時点の金利先物市場から算出された市場織り込み回数は1回未満(約0.4回程度)。よって、FOMCメンバー予想通りの2回を市場が織り込んでくるとドル買い要因となります。一方、本邦サイドは2018年9月の自民党総裁選で安倍首相の続投、4月の日銀総裁指名も黒田氏再任が決定され、引き続きハト派路線が2019年踏襲されること決定されました。アベノミクス(株高・円安→本邦年金を主体とした機関投資家はドルの押目買い)継続、日銀の0金利政策継続が予想され、日米金利差から年間を通してドル買い要因は継続するものの、既に本邦機関投資家の資金枯渇により2019年は2018年ほどのドル買いのサポーターとしての役目は期待でない状況にあります。さらに年後半には2020年に向けた日銀の出口戦略(0金利政策からの脱却、10年債利回り0.1%からの許容幅拡大→金利上昇)が意識され、逆に円買いの要因も出てくることが予想されます。目先は足元の米市場環境(トランプ大統領によるFRB政策への非難)やリスク管理の観点から米3月利上げの可能性は大きく低下しています。

2、米国経済動向:直近米FOMCでは2018年米GDP成長率を3.0%から2.8%に引き下げ、長期的見通しいわゆる米中立金利について前回の3.00%から2.75%(現在:2.25~2.50%、利上げがあと1~2回で中立金利に到達)に下方修正、パウエルFRB議長は2019年9月以降の世界景気減速の懸念に言及しました。米債券市場でも3年債と5年債の逆イールド(「短期金利」>「長期金利」の状態のこと)も発生しており、今後米景気が鈍化することを示唆し始めています。2009年6月から始まった今回の米国景気拡大は2018年12月で114ヵ月が経過しており、2019年6月まで景気拡大が続いた場合、過去最長だった120ヵ月(1991年3月~2001年3月)に並び7月で最長記録を更新することになります。米株価動向から過去の事例をもとに判断すると2018年9月に米株式市場がピークアウトしていたとするならば、米国景気は2019年春頃にピークアウトすることが予想され、警戒が必要な状況にあります。米国債のイールドカーブ(利回り曲線)が逆イールド化した例は1960年以降9回あるがそのうち7回はその後景気後退に陥っており、逆イールドが出現してからリセッション入りまでに要した期間は3~18ヵ月となっています。現在の米国債市場ではイールドカーブの「フラット化(平坦化)」が進行しており、期限によっては逆イールドも出現している状況でまさしく景気後退の兆候となっています。2019年は政策金利のピーク(利上げ局面の終了)の見極めが重要であり、その具体的兆候としては長短金利差がマイナス(逆イールド)になっているかが確固たる後押し指標となります。過去の経験値からいえば政策金利のピーク(最終利上げ)がドル高円安トレンドでのドルの最高値となることはなく、最終利上げを市場が織り込みだした時点からドル売りが始まる(ドル安円高局面入り)ことも心にとめておいてください。

このように2019年は現在の巡航速度を上回る米国経済が春以降に失速し、政策金利の打ち止め感を背景としたドル高円安基調の転換「ドル安円高基調」を予想します。米国経済の失速は世界経済の景気減速に繋がり、中国経済の一段の減速、コモディティ価格(原油をはじめ商品価格)の下落から、関連が強い欧州(ユーロ、英)や豪、カナダも含めて主要国通貨の金利引き上げは現時点の予想よりも後ずれすることが想定されます。要はグローバルに超低金利環境が2019年も継続することが想定され、これが為替市場の予想変動率(ボラティリティ)を下げる依然として大きな要因となり、2017、2018年同様、為替変動が小さな膠着相場となる局面が年間を通して随所に散見されるでしょう。ドル円の変動幅も2017、2018年同様、年間10円程度と予想します。

取引戦略としてはドルが買われた戻り上値でドルを売ってドルショート(ドルの売り持ち)ポジションをキープしながら、ドルが下落した局面で一部ドル買いの利食いを入れ回転を利かせる(ドルの戻り売り、一部押し目買い)、ドル円相場の緩やかな下降軌道に乗って利潤を確保する戦略が効果的であると推奨します。 以上、あくまで現時点での2019年の為替予測ですが、これは年間を通した予想を的中させることを目的としたものではなく、上記予想をベースに想定外の突発的な追加事項等を加味して、予想された項目がそれぞれ時間軸や数値が変更となればその都度、戦略・戦術を見直していくことが必要となることを付け加えます。

 

ユーロ相場予測

ユーロは年後半に上昇トレンドスタート、ユーロ・ドル予想レンジ1.10~1.20ドル。 英ポンドはBrexit次第、不規則・不安定な相場展開継続。

(2018年ユーロ・ドル振り返り):2018年度のユーロ・ドル相場は、年初こそユーロ圏の景気回復期待からユーロが対ドルで1.2555ドル(2月:年間高値)まで買われる局面があったものの、その後は足元の欧州経済減速、それが起因したユーロ利上げ観測の後退(2019年の夏以降)、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ等ユーロ圏主要国の政局問題、関連が深い英国(Brexit)やトルコ危機(8月)等の地政学的リスクから一貫してユーロは軟調地合いとなり11月には1.1216ドル(年間安値)までユーロは売られ、結局ユーロ安トレンドにて1.14ドル程度で年末を迎えました。

(2019年ユーロ・ドル相場予測):2019年のユーロ・ドル相場はユーロ圏経済が年後半(秋口以降)にようやく回復傾向となります。米国の春以降の経済失速、年後半からユーロ圏経済が上向く想定のもとユーロの利上げ開始により、ユーロ・ドルの上昇トレンドがスタートすると予測します。ユーロ・ドルの年間予想レンジは「1ユーロ=1.10~1.20ドル」。第1四半期にユーロの底をつけ、年末にかけてユーロが1.20ドル方向に徐々に買われていく展開。特記事項としてユーロ圏政治情勢(英Brexit,イタリア財政問題、EU議会選挙、次期ECB総裁人事、フランス・ドイツ政局不安)が随所にユーロ相場に混乱をもたらす可能性があり、ユーロのポジション運営としては、年間を通してやや小さめのポジションで足早な回転売買が奏功しそうです。ユーロのポジション運営の指標としては、“ドイツとイタリアの10年国債金利差”に着目。「拡大すればユーロ売り、縮小はユーロ買い」(現在250bp、2.50%程度)

(英ポンド)

英ポンドは2019年3月29日までのBrexit(EU離脱)に向け、極めて不安定な状態が続きそうである。離脱協定案が承認されればポンドが一時的に買われる展開となるでしょうが、現時点で英国議会による承認は確実ではありません。筆者は3月29日までに何らかの形で離脱合意すると予測しているがその場合も一時的にポンドは買われたとしても長期的な見通しはEUからの離脱により、経済へのダメージの方がより大きくポンドの構造的下落は避けられないとみています。もし“合意なき離脱”となればポンドは現状水準から10%以上下落、1ポンド=1.00~1.10ドル(ポンド・円でリーマンショック時に示現した120円割れ)に向かっていくでしょう。仮に“離脱撤回”となれば10%程度ポンドは上昇し、1.40ドル方向(ポンド・円で160円方向)に向かうだろう。いずれにせよ不確定要素が大きくポンド相場は方向感のない激しい上下相場が続きそうである。殺人通貨といわれるべく直近、ボラティリティ(為替変動率)も20%以上と通常の2倍まで急に上昇したりして不規則な相場展開が散見されましたが、この環境が3月末までは続きそうです。3月末までもしくは明確な方向感が出るまではポンド取引は控えたほうが賢明と思料します。

 

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
ゴールデンウェイ・ジャパン株式会社【2019年4月1日(株)FXトレード・フィナンシャルは社名変更いたしました。】 モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

ドル円は円高トレンドに転換。目先108円まで下落、2019年は100円割れを予想

12月のドル円相場は、米FOMCで今後の利上げ見通しが引き下げられたことに加え、株式市場急落からのリスクオフの流れもあり、一時109.99円まで下落しました。

今後のドル円の動きですが、2018年3月から続いていた円安の流れは終わり、徐々に円高が進んでいく展開を考えています。ドル円は2017年4月以降、115円手前で上昇が抑えられてきましたが、2018年10月に長期金利が3.261%まで上がった際にも114.54円までの上昇で115円超えとはなりませんでした。米利上げ見通しが引き下げられた現状を踏まえると、ここから115円以上の円安になる可能性は相当低いと思います。115円の重さを再度確認したことに加え、今後米景気の減速が意識されていくだろうことを考慮すると、円高トレンドへと転換した可能性が高いと見ています。現状まだ米景気は堅調で日米の金利差も大きいことから、目先は一段レンジを引き下げて108円~112円での動きとなりそうですが、米景気減速の兆候が見られるにつれ徐々に円高が進み、2019年のうちには100円割れの円高になると予想しています。

12月のユーロドルは、ユーロ圏製造業PMI、独製造業PMIが悪化したことから1.1266ドルまで下げる場面があったものの、その後米FOMCで利上げ見通しが下方修正されたことから、結局は下げ分を取り戻す動きとなりました。ここまでユーロドルは製造業PMIの悪化というユーロ側の材料で下げ続けてきましたが、米側の悪材料も出てきたことから一旦下落トレンドは終了し、1.12ドル~1.15ドルでの横ばいの動きになると考えています。目先はユーロ圏製造業PMI、独製造業PMI次第で、PMI製造業の数値が50割れとなればユーロドルは1.10ドルも視野に入ってきますが、2019年の1年で考えれば米景気減速を材料にどこかの時点で相場は反転、1.20ドルを目指した動きになると予想しています。

 

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