鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

 
 

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

 

111.00~114.00円をコアレンジとしてドルの上値を窺う展開。ただ、ドルの上値は重たく伸び悩みを予想する。

9月のドル円相場は、4月に反転したドル高(ドル買い円売り)相場のトレンドが継続するなか、貿易戦争緩和のリスクオンモードから遂に年初来高値を更新し、ドルが上値を窺う展開となりました。

月初は対中や対日との貿易協議が難航するとの見通しから、リスクオフのドル売りが先行、一時110.52円(月間安値)まで売られたドル円相場は、その後トルコ中銀の予想外の大幅利上げによる新興国通貨危機の緩和や対中貿易戦争での材料出尽くし感がリスクオンモードとなり、ドル円は徐々に買われ113円台前半(113.14円)まで上昇しました。米10年債利回りが3.09%前後まで上昇したこと(4か月ぶりの高水準)もドル買い要因となりました。

26日のFOMCでFRBは市場の予想通り今年3回目の利上げを決めたものの、声明で利上げ打ち止め感が意識され、一転ドル売りとなり112円台後半までドルは軟化する局面はあったが売りが一巡すると買戻しが優勢となり、28日には7/19高値の113.17円年初来高値(1/8、113.39円)を上抜けて一時113.47円と昨年12月25日以来の高値を更新しドルの上値を追う展開で月末を迎えました。

今後のドル円相場は、111.00~114.00をコアレンジとし11月の米大統領中間選挙も控えていることから110.00~115.00円レンジの中、ドルの上値を窺う展開を予想します。ただ、米利上げ観測打ち止め感もあり、ドルの上値は伸び悩み限定的と予想します。

1、(米国経済):トランプ大統領の税制改革、相変わらず好調な米経済指標、それらを反映した米株式市場の堅調さ(NY株式市場は過去最高値を更新)と米長期金利上昇は引き続き大きなドル買い及びドルの下値サポート要因です。貿易戦争はドル売り円買い要因、貿易戦争緩和はドル買い円売り要因であるものの、対中、対日ともに一旦材料出尽くしとなり、貿易懸念後退から市場はリスクオンモード(ドル買い円売り)となっています。 一方、26日のFOMC声明文で「緩和的」との表現が削除されたことと、四半期に一度の経済・金利見通しによると、年内利上げ見通しがあと1回、19年3回、20年1回、今回から加わった21年は利上げなしが示されました。20年までの見通し回数は前回見通しと同様変更なしに加え、21年がなしと示されたことから市場では利上げ打ち止め感が台頭(ドル売り要因)しました。またリスク要因として、10月は決算発表の前の1ヵ月に該当しブラックアウト期間として自社株買いが出ない月間です。今年の米株式市場上昇を牽引してきた大きな要因の一つである自社株買いが出ないと、米株の失速がドル上昇相場の重しとなることも想定しておいたほうがいいと思料します。しかし、19年のFRB利上げ予想3回に対して、金利先物市場から算出される現時点の利上げ織り込み回数は約1.7回と未だ上昇の余地があります(ドル買い要因)。さらに、FOMC声明文でGDP成長率については18年と19年がともに上方修正されていることから、米経済堅調地合いが起因する米ドルの他通貨比優位性は変わらず、引き続き米経済指標及びそれに連動した米10年債利回りを注視しながら(金利上昇→ドル買い、金利低下→ドル売り)ドルの押し目を拾い(ドル買い円売り)、上値で一部ドル売り(円買い)を繰り返す回転売買が有効と考えます。

2、(グローバルポジションの傾き、本邦実需動向):グローバル投機筋の直近ポジション(シカゴIMM、9/18付け)は、ドル円相場が新興国通貨危機や米中貿易戦争があったにも拘らず110円を割らずに底堅く上昇推移したことから円売りポジションが増加しました。トランプ政権樹立時のドル買い相場で積み上がった円売りポジション最大時の約半分ほどの円売りポジションが再度積み上がっており、円売り圧力が強まっている状況です。11月の米大統領中間選挙を控え、ドル堅調地合いは(円売りポジションの増加は)続く予想のもと、年初来高値を更新して新たな円安領域に入っていることから本邦実需筋のドル売り円買いが断続的に出てくることが予想され、115円までは目先期日を迎えるオプションも大量にあること(ドル売り要因)がドルの上値を抑える一要因となることは想定しておいたほうがいいでしょう。

3、(貿易戦争):24日から対中制裁関税第3弾(2000億ドルに10%関税、来年は25%の予定)の発動とその中国による米製品報復関税措置については両国ともに経済成長GDPに与える影響は軽微との判断からリスクオンモード(ドル買い)となっているものの、この戦争は長期戦であり、米中の覇権をかけた戦いになりそうであるが11月の米大統領選挙を控える環境下、目先はリスクオンが優勢となりそうです。日米通商問題については、貿易協定協議中は米側による自動車への追加関税の発動を回避することで一致しました(ドル買い要因継続)。しかし、協議中との条件付きであり、自動車関税の引き上げ懸念が払拭されなかったことでドル円の上値を抑える要因となりそうですが一旦貿易戦争懸念は後退している状況です。

以上から年初来予想してきた「中長期的(年内)には米景気堅調、日米金利差拡大からドル高円安トレンドに回帰し110~115円レンジの円安を目指す展開」に沿った動きが継続目先は節目の115円を目指す展開となり、ドル買い要因が多いものの、ドルの上値を抑える要因も多く上値は限定的と予想します。一気に114~115円を目指す展開とはならないでしょう。
下値は9月安値110.52円が意識されるがドルの下値は固そうです。以上から「ドルの押し目買い一部戻り売り」でドルロングをキープしながらの回転売買が効果的と考えます。

 

ユーロ相場予測

ユーロ・ドルは1.1500~1.1800コアレンジのなか、ユーロが底堅くユーロ売りトレンドが反転した可能性が高い。ポンドはBrexit関連で売り圧力の方が引き続き強い。

9月のユーロ・ドル相場はトルコ情勢やイタリアの財政問題への警戒感から一時1ユーロ=1.1530ドル(月間安値)まで下落したもののトルコ中銀の大幅利上げやドラギECB総裁がユーロ圏の景気・インフレ見通しに強気な見方を示したことでユーロ・ドルは上昇しました。上値のチャートポイントである1.17ドル台ミドルを上抜けるとロスカット発動から一時1.1815ドル(月間高値)までユーロは買われ6月以来の高値を示現しました。その後は利食いのユーロ売りに押され1.16台までユーロは下落して月末を迎えました。

当面、ユーロ・ドルは1.1500~1.1800ドルをコアレンジとしてユーロが底堅く推移しそうです。ユーロは8月のトルコ危機の際に示現した1.1301ドルで底を打ち、ユーロ売りトレンドが反転した可能性が高いです。

最近のユーロ・ドル相場は上下動を繰り返しながらも基調としては上昇基調の展開となっています。9/26の米FOMCの声明文による米利上げ観測打ち止め感とドラギECB総裁の景気・インフレ見通しに対するタカ派発言から、「米国の利上げはいずれ終了、来年夏場以降は欧州が利上げに入る」というユーロ強気の思惑を先取りしたユーロ買いが今後も底堅く続くと予想します。米国のピークが見えてきたときに欧州が徐々に金利を上げていくのでいずれユーロ・ドル堅調相場になることを先取りしたユーロ買いが1.15ドルを目先の底値として断続的に出てくる可能性が高いでしょう。現在のグローバルなユーロのポジションは引き続きほぼスクエアであり、ユーロ買い圧力の潜在量はかなり大きいです。引き続き対米貿易摩擦懸念やイタリア政治リスクと米景気堅調からくるドル買い圧力もあることから一方的なユーロ買いとはならないものの1.15ドルをサポートラインとしてユーロの押し目を確実に拾う(ユーロ買いドル売り)戦略がワークしそうです。ユーロ・ドルでユーロ買いの中長期的なポジションを持つ場合はスワップがマイナスになることに注意したいです。

9月のポンド・ドル相場はBrexitに関するヘッドラインで一喜一憂(ポンド売りとポンド買いの交錯)するマーケット展開に終始しました。月初はBrexit懸念の強まりを受けてポンド・ドルは1.29半ばから一時1.2786ドル(月間安値)まで下落するものの、その後Brexit関連のポンドにとってポジティブな内容が相次いだことからポンドは買われ1.33ドル手前(1.3298ドル:月間高値)までポンドは買われました。月末にかけてはBrexit交渉の行き詰まり懸念からポンドは売られ1.30ドル台で引けた。ポンドは英国のEU離脱交渉に関連する報道(ヘッドライン)に一喜一憂しながら神経質な取引が続きそうです。合意の最終期限とされていた10月中旬のEU首脳会議までに合意できない可能性が高く、英国は「悪い合意」か「合意なき離脱」に現在直面しており、引き続き1.28~1.32ドルをコアレンジとしてポンド売り先行で回転売買する戦略が効果的となりそうです。ただ、最終的にはメイ首相が目指している妥協的なブレクジット路線となると思われるため、一方通行でポンドが売られることも考えづらいです。

 

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

ドル円、ユーロドルとも底堅い動きを予想。レンジ上抜けを期待

9月のドル円相場は、8月米雇用統計で平均時給が前年比2.9%と9年ぶりの大幅な伸びとなったことから堅調な動きが続き、113.13円まで値を伸ばす場面がありました。しかし年初来高値113.38円を超えることはできず、現在は112円台後半での推移となっています。

今後の動きですが、現在米長期金利が3%を超える水準となっており、米雇用やインフレ率を鑑みるとこのまま高水準での推移が続きそうで、このためドル円は底堅い動きが続くと予想しています。ドル円は6月以降、110円~113円のレンジでの動きとなっていましたが、近いうちにレンジを上抜けすると思います。年初来高値113.38円を超えることができれば、115円程度まで値を伸ばす可能性が高いと考えています。

ユーロドルは、ドラギECB総裁のインフレに関する発言から一時1.1815ドルまで上げる場面があったものの、翌日にはECBプラート理事が「昨日のドラギECB総裁の発言は何も目新しいニュースではない」と述べたこともあって、結局は1.15ドル~1.18ドルでのレンジ相場となりました。今後の動きですが、FRBが米金利の2020年打ち止めの可能性を示唆したのに対し、ECBは来年秋には利上げを開始することが予想されていることから、ユーロドルは底堅い動きになると考えています。10月も1.15ドル~1.18ドルの値動きになると予想していますが、9月には一時的とはいえ1.18ドルを超えた瞬間もあり、レンジを上抜けする可能性も十分あると思います。

 

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