鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

 
 

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

 

105~110円をコアレンジとしてドルの反発地合を確認する展開。
貿易戦争、地政学的リスク次第では100~105円下方レンジに突入する可能性も

3月のドル円相場はドルの戻りの鈍い展開が続き、米保護主義への懸念、NY株安や米長期金利の低下を受け、遂に心理的サポートラインであった105円を下抜け2016年11月以来の安値を更新しました。

月初107円台でスタートしたドル円相場はトランプ大統領による鉄鋼やアルミニウムに追加課税を課す米保護貿易主義への懸念が台頭し、グローバルな株価の急落とともにドル売りが活発化しました。2月安値の105.55を下抜け105.25までドルは売られました。一旦は105.00円の大量のバリアオプションに絡んだ防戦買いにより107.29(月間高値)までドルが買い戻される局面があったものの、本邦輸出企業の期末である3月末を意識したドルの見切り売り、21日のFOMCで予想に反してタカ派的な内容にならなかったためドル売りが最加速、遂に心理的支持ラインである105円を下抜けるとストップロスを誘発して、26日早朝には104.56円(月間安値)と2016年11月以来の安値を更新しました。その後は米保護貿易主義の緩和観測や28日に中朝首脳会談が行われ、北朝鮮地政学的リスクの後退期待からリスクオン相場を誘発、月末にかけ107円台(107.01)まで戻して106円前半で終了しました。

今後のドル円相場は、ドル反発地合を確認する相場となりそうです。昨年9月~11月のドル上昇相場(107.32円→114.736までドル円上昇)、一巡後の調整相場(ドル売り円高)が終焉を迎え、105~110円をコアレンジとしてドルの反発(ドル買い円売り)相場に向かうのかを確認する展開となるでしょう。ただ、引き続き100~105円の下方レンジに落ちるリスクは残存します。

1、(新年度季節要因1):4月は本邦機関投資家(年金等)にとって新年度入りとなり、ポートフォリオ入れ替えによるドル買い(外貨買い)が月間を通じてかなり大量にでる季節要因があります。また、これまでどおり、ドルが落ちて新値をトライするドルの押目(105年割れ水準)では、継続的・断続的なドル買いにより引き続きドルのサポート要因となるでしょう。

2、(グローバルポジションの傾き):グローバル投機筋の直近ポジション(シカゴIMM、3/20)は、105円割れの円高が加速したことにより、遂に円売りポジションが解消しました。2016年11月からのトランプ大統領ドル高相場により継続してきた円売りポジションが遂にほぼスクエアとなり、たとえ再度105円割れの円高による新値トライとなっても更なるロスカット発動によるドル売りが加速する要因はなくなりました。

3、(米国状況):3月のFOMCでは18年の利上げ回数が12月に続き年3回の予想と変化はなかったものの(金利見通しの中央値は2.125%で前回12月から変化なし)、年4回の利上げメンバーが増加したことと2019年、2020年の中央値が引き上げられたことから、明らかに金利上昇予想が「上方向にシフト」している結果となりました。米インフレ指標の見通しも18年末1.9%と前回12月と変わらなかったことから今後は米インフレ関連指標に着目し、強めの指数が発表となればFRBの利上げペースが早まるとの意識されやすい環境となり、日米金利差拡大からドルが買われる大きな要因となるでしょう。

4、(地政学的リスク):3月6日の「韓国・北朝鮮、4月首脳会談開催で合意(4/27」報道に端を発し、28日に中朝首脳会談が行われたことで、5月末までに米朝首脳会談が開催される可能性が高まっていることに加え、6月初めの日朝首脳会談開催の可能性報道もあり、北朝鮮地政学的リスクの後退期待からドルを買いやすい環境が目先続きそうです。地政学的リスクの後退報道によるドル買いはドルをサポートし続けると予想します。

5、(新年度入り季節要因2):4月新年度入りにより本邦輸出企業の2018年度上期のドル円想定為替レートは2017年度下期の109.66円(平均値、12月公表)と比べ、大きく引き下げられる可能性が高いです。足元の106円台の為替水準を考えると105円程度に設定される可能性が高く、4/1からは足元の為替水準でさえ断続的なドル売りが予想され、更なるドルの戻り局面(108~110円)では断続的にドル売り予約が並ぶ可能性が高く、ドルの上値を押さえる大きな季節要因となるでしょう。

以上、中長期的(年内)には米景気堅調、日米金利差拡大からドル高円安トレンドに回帰し110~115円レンジの円安を目指す展開に変更はなく、目先はドル反発の足がかりとなる局面を迎えそうです。12月以降のドル下落基調を明確に反転させるチャートポイントとして107.50程度を維持できるかどうかが焦点です。逆に想定外のドル売り(米中貿易戦争、暗殺未遂事件に係るロシア発地政学的リスク等)により再度105円を下割れ、年初来の円高新値をトライする展開となれば、100~105円レンジ相場形成のリスクシナリオが残ることも心に留めておきたいです。

目先、下値の目処は、3月安値104.50円付近です。104円を下抜けると全押しの2016年11月9日安値101.193まで明確なサポートは見当たりません。目先上値の目処は3月高値の107.29、107.50円を上抜け12月からのドル下落基調に歯止めをかけることができるかが重要です。

 

ユーロ相場予測

ユーロは1.20~1.25ドルコアレンジの中、下値を模索する展開。
ポンドもドル反発により軟調な展開を予想。

3月のユーロ・ドル相場は特に大きな材料のない中、1ユーロ=1.22~1.24ドルを中心に狭いレンジのもみ合い相場に終始しました。月初こそドル買いにより1.21台(1.2155)までユーロが売られる局面があったものの、8日のECB理事会にて「QE規模拡大の文言削除」が報じられるとユーロ金利上昇観測から一旦1.24ミドル(1.2446)までユーロは買われました。その後は米通商政策をめぐる貿易摩擦の高まりやその緩和観測など材料難の中、1.22~1.24ドルの狭く動意の薄いレンジ相場展開となり月末は1.23近辺で終了しました。 当面、ユーロは1.20~1.25ドルをコアレンジとしてもみ合い展開を予想するもののユーロの上値の方が重たく、リスクは下方にあり、ユーロの下値を模索しそうです。

IMM通貨先物ポジション(グローバルのポジション傾き)におけるユーロ買い持ちポジションは引き続き過去最大級の高止まりの状態であり、今後グローバルにリスクオンとなってドルが買い戻される展開となるとユーロ売りが加速し、直近のサポートラインである1.21ドルを明確に下割れすると1.20ドル以下ストップロスの状況次第では1.17ドル前後まで下げる可能性が依然高いです。また、最近のユーロ・ドル相場は1.24を越えてユーロ高局面になるとユーロ政府高官からユーロ高牽制発言が出てきます。現時点で1.25を越えたユーロ高は許容できない状況のようです。1.25近辺は一旦ポジションアンワインドのユーロ売りが大量にでることも想定され、目先はユーロの上値は限定的でドルの買い戻し次第ではユーロ下値リスクの方が高い。ユーロ・円は125円方向を目指す引き続き軟調な展開を予想します。

3月の英ポンド・ドル相場は2月の相場展開と同様に1ポンド=1.40ドルを挟んだ揉み合いの展開に終始しました。22日のEUサミットにより、EUと英国がBrexitの移行期間につき合意したことから、Brexit交渉の先行き不透明感が後退し、月初から1.40割れが続いていたポンド・ドル相場は一旦1ポンド=1.42ドル台(1.4219、月間高値)まで戻したものの、月末は1.40近辺で終了しました。当面のポンド・ドル相場は揉み合いながらドルの相場展開を受けてやや軟調に推移しそうです。貿易摩擦懸念を背景としたドルの軟調地合がポンドを支える地合は貿易戦争の緩和予測から今後はポンド買い支え要因とはなりづらいでしょう。グローバルにドルの買い戻し基調となればポンド・ドルで1.35ドルを下割れする展開もみられそうです。ポンド・円は140円方向の軟調な展開とみます。

 

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

ドル円は目先反発、ユーロドルは引き続きレンジ相場を予想

3月のドル円相場は、前半は105円~107円のレンジ相場が続いていたものの、米国の対中関税措置が発表されると貿易戦争が嫌気され、26日には一時104.55円まで値を下げました。その後、米中間の貿易摩擦激化に対する懸念が和らいたことや北朝鮮を巡る地政学リスクの後退などから、月末にドル円は上昇し、現在は106円台での推移となっています。

4月のドル円相場ですが、日本の金融緩和縮小観測から中長期のトレンドは円高トレンドと考えていますが、年初から3か月下げ続けていることもあり、短期では貿易問題が悪化しない限りは一旦反発局面に入ると予想しています。2月高値107.90円を超えれば、110円程度まで戻る可能性もあると思います。貿易問題次第では再び下値を試す動きにつながる可能性もあり、トランプ大統領の発言や4月中旬に予定されている日米首脳会談には注意が必要でしょう。

3月のユーロドルは、ECBが緩和バイアスを撤回したものの、2019年のインフレ見通しを引き下げたことから上値が重く、1.22ドル~1.25ドルで方向感のない動きが続きました。ECBの緩和縮小を材料に将来的にユーロドルは1.30ドルを目指して上昇していくと考えていますが、目先はインフレ見通しの引き下げがあり上値を追いづらい状況で、4月も1.22ドル~1.25ドルでの横ばいの動きが続くと予想しています。

 

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