鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

ドル円予想レンジ105~110円をコアレンジとしたドルの上値が重たくドルの下値リスクが高い展開

2月のドル円相場はドルの戻り上値が重く、米金利急上昇が起因した米株の大幅安を背景にドル売りが1月に続いて更に加速、105円台半ばまでドルは大きく下落しました。月初2日は、米雇用統計が予想より強い結果となったことでドルが全面高となるなか、一時110円台(110.483、月間高値)までドルが買い戻される局面はあったものの、その後は米株(5日、NYダウで1600ドル安)や日経平均(6日、1600円安)の大暴落から、ドル売りが加速し、1月安値の108.285を下抜け昨年9月以来の108円台割れ寸前まで下落しました。その後17日から始まる中国の旧正月(春節)前にファンド勢の仕掛け的な売りが契機となり、欧州通貨や資源国通貨など幅広い通貨に対してドル売りが優勢となり、目先のストップロスを巻き込んで105.55円(月間安値)と2016年11月10日以来の安値まで下げ幅を広げました。その後は持ち高調整のドル買いが進み107円台を挟んだ展開で月末を迎えました。

今後のドル円相場は、引き続きドルの戻りが鈍い展開が続きそうです。昨年9月~11月のドル上昇相場(107.32円→114.736までドル円上昇)一巡後の調整相場(ドル売り円高)が3月も続きそうで、105~110円をコアレンジとしてドルの心理的サポートラインである105円を維持できるかどうかが焦点です。

1.黒田日銀総裁の再任が決定され、現行政策(株高、円安)継続から、対米欧で日本の金融緩和が際立つ相場環境(金利差拡大)は円安要因です。ただ、当面、米国で債券・株式市場が不安定な間は、円高リスクの方が大きいです。ただし日銀が自ら円高リスクを招くような行動はとらないでしょう。

2.本邦機関投資家(年金等)は2月ドル円相場の109円台から105円台まで着実にドルの押し目買いを実施(外国証券投資)、今後もドルの押目は引き続きドル円のサポーターになるでしょう。しかし、ドル売りの仕掛け的な売り玉と比較してサイズが小さいため、サポーターにはなっても歯止め要因とはならず、かつ上値を追って買っていくような行動はとらないでしょう。

3.金利先物市場から算出する米FOMC(3月)での米利上げ(0.25%)の織り込み度合いは現在100%です。年内利上げ回数は2.9回(FRB予想の年3回とほぼ同等)まで膨らんでいます。今後、最重要視されている米インフレ指数の結果によっては、FRB引き締めペースが年3回から4回にシフトされる可能性が高くなります。一般的に考えれば金利差拡大からドル買い要因であるが現在の不安定な環境では逆にドル売り要因となりやすいので注意が必要です。現在の値動きは米金利上昇を嫌気した米株式市場の下落(→ドル売り)が想定されるなか、米10年債利回りが節目の3.0%(2月高値2.95%、月末2.86%)を越えてきた場合、米株式市場下落が日本株下落を誘引し、日経平均で21000円(2月安値20950円)を割り込んでくるとドル円は再度105円台に突入、心理的サポートラインである105円を下割れトライする可能性が高くなるでしょう。一方、インフレリスクに起因した米長期金利(米10年債利回り)上昇だけでなく下落の場合も現在はドル安要因となっています。このドル売りの負の連鎖を断ち切る(本来の金利差拡大→米金利緩やかな上昇→ドル買い)にはもう少し時間がかかりそうです。

4.本邦大企業製造業の2017年度下期のドル円想定為替レートは109.66円(平均値、12月公表)と、足元において同水準を超える大きな円高水準となっています。2月2日の戻り高値が110.483で110円台の滞空時間も2日間と非常に短時間だったこともあり、本邦輸出企業の輸出予約は進んでおらず、戻りの109円台半ば以上を待つというよりは時間的な制約の中、3月期末に向け108円台から(場合によっては、107円台から)大量のドル売り予約が想定され、ドルの上値を重たくする大きな要因となるでしょう。(ドル売り円買い)

5.グローバル投機筋の直近ポジション(シカゴIMM、2/20)は、105円台まで円高が進んだにも拘わらず、いまだトランプ上昇相場の最大円売り持ち高の約半分くらいの円売りポジションとなっています。→中期的にはドル高円安方向を予想したポジションを維持しています。目先105円を割れてくるようだと投機筋のロスカットによるポジション解消のドル売り(ドル安円高)が加速する可能性は高く、逆に108~110円台の戻りも一旦ポジション解消の動き(ドル売り)から上値が重たくなることが予想されます。依然ロスカット発動連鎖によるSellingクライマックスとはなっていない状況です。

以上、中長期的(年内)には米景気堅調、日米金利差拡大からドル高円安トレンドに回帰し115円以上の円安を目指す展開に変更はないものの、目先はドルの戻り上値は重く、ドルの下値をトライしやすい展開を予想します。ドル円が105円を割れてくるようだと次は100円が視野に入ってきます。この場合はその後ドルが反発したとしても戻りは110~115円が上値レンジになる可能性が高いです。
ドルが再び上昇トレンドに転換するには、当面ドルの底値が固まる展開をこなす必要があり、まだまだ時間がかかりそうです。

目先、下値の目処は、トランプ上昇相場に対するフィボナッチ76.4%押しの105.30円付近。105円を下抜けると全押しの2016年11月9日安値101.193まで明確なサポートは見当たりません。上値の目処は2月下げ局面の高安110.48→105.55の38.2%戻し107.43近辺、半円戻しの108.01近辺が意識されます。

ユーロ相場予測

ユーロはユーロ買い持ちの利食い売り先行で上値が重たく、下値リスクが高い軟調な展開。英ポンドは1.40ドルを挟んだ揉み合いの展開。

2月のユーロ・ドル相場はNY株式市場の急落に端を発したグローバルな株価調整によりユーロ・ドルも戻り上値が重たい軟調な展開となりました。月初1日、1.25ドル台でスタートしたユーロ・ドル相場はその後のNY株式市場の急落を受けてリスクセンチメントが悪化、ドル売りよりもユーロ売りの方が加速し、9日には1.2206ドル(月間安値)まで下落しました。その後は、ユーロ買戻しから一旦1.2555(月間高値)ドルまで戻す局面があったもののユーロ高牽制発言や欧州株軟調地合もあり、ユーロは軟調な展開に終始、1.23ドル近辺で月末を迎えました。
当面、ユーロは利食い売りを背景に軟調な展開を予想します。ユーロ・ドル相場は1.2000~1.2500をコアレンジとしてユーロの下値を模索しそうです。

ユーロのポジション調整には注意が必要です。直近投機筋のポジション(2/20、シカゴIMM)をみると、ユーロのグローバルな買い持ちポジションは2月に1.22ドル前半までユーロが利食い売りに押される局面があったにも拘わらずいまだ最大買い持ちポジションの9割程度と以前高水準のユーロ買い持ちポジションとなっています。ユーロ・ドルは1.25ドル台前半でダブルトップの可能性が高まっており、直近安値1.2206ドルを下抜けると下げ足を速め(ポジションアンワインドのストップロスが大量に出ることが予想され)、1.20ドル以下ストップロスの状況次第では1.17ドル前後まで下げる可能性があります。その際はユーロ円も昨年11月以降のサポートラインである131円を下抜け125円以下まで下落する可能性が高いです。当面ユーロにポジティブな材料が出てもユーロ・ドルで1.25~1.27ドルは利食い売りも大量に出てくることが想定されることから上値は限定的と予想します。

2月の英ポンド・ドル相場は1ポンド=1.40ドルを挟んだ狭い揉み合いの展開に終始しました。月初1ポンド=1.42ドル台(1.4275、月間高値)でスタートしたポンド・ドル相場は、EU離脱交渉が「ハードブレクジット」になる懸念が浮上し、ポンドが売られ1.3765ドル(月間安値)まで下落しました。その後ポンドの買戻しから1.41ドル台まで戻したものの月末は1.40ドル割れ近辺で終了しました。当面のポンド・ドル相場は揉み合いの展開を予想します。目先の焦点は3月22,23のEUサミットを控え1.40台が定着するかどうか試されます。英国とEUとの離脱交渉については不透明感(ハードBrexit懸念)が続いておりポンドの上値を抑える材料となるでしょう。EUサミットで英国は通商協定に関する概要を提出する見通しであり、通商協議の枠組み等について政治的不確実性が高まればポンド売りが強まる可能性があり、逆に政治的不確実性が後退すればポンド買いが強まるでしょう。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

ドル円は戻りを試す展開、ユーロドルはレンジ相場を予想

2月のドル円相場は、米長期金利の上昇をきっかけに株式市場が急落したことでリスク回避のムードが高まり、一時105.52円まで下げる場面がありました。その後、107.90円まで戻す場面はあったものの、米長期金利が高止まりを続けていることから上値は重く、現在は107円を挟んでの動きとなっています。

3月のドル円相場ですが、パニック売りも収まったため、引き続き戻りを試す展開を予想しています。戻り高値107.90円を超えれば、110円程度まで戻る可能性が高いと考えています。ただ昨年安値107.31円を割れたことに加えて日銀の緩和縮小観測もあり、すんなりと戻していくのは難しいでしょう。107.90円を超えるまでは105円から108円のレンジを意識した売買、戻り高値を更新した場合はドル円買いで望むのがいいと思います。

2月のユーロドルは、直近高値を更新し1.2555ドルまで上値を伸ばす場面があったものの、その後は軟調な展開が続き、現在は1.23ドル台前半での動きとなっています。今後の見通しですが、3月は序盤にドイツとイタリアで政治イベントが予定されており、結果によってはユーロ安につながる可能性があります。ただ問題がなければ、ユーロは引き続き高値圏での推移が続くと予想しています。1月ECB議事録が若干ハト派的な内容だったことから当面は上値を追いづらい状況のため、1.22ドル~1.26ドルで横ばいの動きが続くと考えています。

バックナンバー

鶴のヒトコエの過去の記事を確認できます。

 

【ご注意】
  • 本ページは、投資判断にあたり参考となる情報の提供を目的としており、金融商品の売買を勧めるものではありません。投資の最終的な判断はお客様ご自身の責任でされるようお願いいたします。
  • 本ページでは、当社が信頼できると判断した情報を紹介しておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当サイトに基づいて被ったいかなるトラブルや損失・損害等についても、弊社及び情報提供元は一切責任を負うものではありません。