鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

110~114円のコアレンジ、ドルの上値を探る展開。リスクは北朝鮮動向、ただ地政学的リスクからドルが落ちたところは絶好のドル買い。

9月のドル円相場は8日に年初来安値(108.134、4月示現)を更新する107.32円までドルは売られたものの、その後2週間で米金利上昇に伴うショートカバーでFOMC(20日)後に112.72円まで5.4円上昇、その後も113円台(113.26)を示現するなどドル買い戻しの展開となりました。月初110円台でスタートしたドル円相場は、北朝鮮が核実験を実施したことによる地政学的リスクの高まりと、ハリケーン「イルマ」の脅威、メキシコの大規模な地震等を受け、米10年債利回りの大幅低下(2.014%まで下落)とともにドルが売られ、一時年初来安値を更新して107.32円と昨年11月14日以来の安値まで下げ足を広げました。その後地政学的リスクの緩和、安倍首相の衆院解散意向からくるアベノミクスの再現期待(円安、株高)、米FOMCでの10月バランスシート縮小と12月利上げ観測の台頭を受け、米金利が急上昇、ドルが全面高となり27日には113.26までドルは買い戻される展開となりました。

今後のドル円相場は、北朝鮮の地政学的リスクに警戒しながらドルの上値余地を探る展開となりそうです。 目先、米国の長期金利上昇要因(12月FOMCでの利上げ観測、10月スタートのバランスシート縮小策=長期金利上昇)とトランプ政権の減税期待の復活、アベノミクス再現期待(円安・株高)からドル買い優勢の展開が続きそうです。リスクは北朝鮮、軍事衝突となれば一時的に5円程度ドルが落ちる可能性があります。

① 注目されていた9月FOMCではFRBによる政策金利見通しの中央値が6月時点の「年内あと1回、2018年3回の利上げ」と変化なく、12月の追加利上げが予想外に示唆されました。12月利上げの織り込み確率も9月上旬の30%割れからFOMC後には65%まで上昇、その過程で米10年債利回りも2%割れそうな水準(2.014%)から一気に2.3%近く(2.28%)まで上昇。今後、インフレ指数改善の兆候に伴う12月利上げ織り込み確率の上昇や現時点でほとんど織り込まれていない2018年3回の利上げが織り込まれてくるとドルの更なる上値をトライしそうです。10月中と予想されるイエレンFRB議長(任期:2018年2月)の後任発表にも注目です。トランプ大統領に従順なイエレン女史再任も噂され、サプライズな人事でない限り、政策見通しが大幅に変更されることは予見されず、決定した場合は不透明感の払拭から2018年のマーケットの利上げ確率織り込みが進むと見ます。

② 米税制改革の概要がムニューシン財務長官等重鎮6人(ビッグシックス)の案をベースにトランプ米大統領と共和党から27日に発表されました。法人税率現行35%から20%への引き下げ等今後調整段階に入るが、さらなる議論の進展により、トランプ政権の不透明感払拭により期待が復活し、ドル買いに繋がりやすいです。

③ 国内の最大イベントは22日の衆院選です。自民・公明の連立与党が過半数を獲得するかが焦点です。たとえ安倍退陣となってもドル円の上昇地合いは揺るがないと予想します。一部報道にある「2兆円経済対策」が公表され、安倍政権信任による金融緩和維持と株高となれば、ドル円上昇のサポート要因となるでしょう。また安倍政権再任となれば黒田日銀総裁の来年4月の再任も揺るぐことはなく、第2のアベノミクス(円安・株高)を後押しするサポート要因となり得ます。一方、27日に小池新党と野党連携のニュースが出ても市場は株高・円安地合となっています。安倍一強改善の期待の表れでもあります。仮に安倍退陣で一旦ドルが売られたところはドルの買い場とみます。

以上から米年内利上げ観測の急速な織り込みと減税期待の復活により米金利は上昇するでしょう。

目先110~114円をコアレンジとしてドル円相場と相関が高い(約0.8)米10年債の金利動向を見ながら金利が低下したところでドル買い、上昇局面でドルの一部戻り売りを引き続き実施することを推奨します。衆院選は円安地合を後押しすると想定します。現時点では、米10年債利回り0.05%の上昇に対してドル円で約1円程度上昇する相関となっています。ただ、115円以上のドル円上昇及び定着については2018年の米利上げが織り込まれてこないと(米10年債利回りで2.5%以上)難しいと思料します。

リスクの北朝鮮関連の不確実性は継続するでしょう。目先の注目日程は10/10に控える朝鮮労働党の創建記念日です。さらなる挑発行為に出る恐れがありますが、①弾道ミサイル発射にとどまればドルが落ちたところですかさずドルの押目買い②水爆実験を行えばリスクオフの動きが加速して2円程度ドルが落ちそうですが落ちたところは同じくドル買いで対応したいです。③米国による大規模軍事行動となった場合、一時的に5円程度ドルは売られると予想します。この場合、中国共産党大会(10/18)後の雲一つない秋晴れの早朝時(朝5時くらい)、前触れもなく一気に大規模攻撃に踏み切ると予想しますがその時は、流動性が薄く、ロスカット発動からドルが短時間で急落する可能性が高いです。ただドルが落ちきったところはやはり絶好のドル買いで臨むことを推奨します。筆者は③の可能性も十分有り得ると現時点では想定しています。北朝鮮関係でドルが売られればいずれもドル買いで臨みたいです。

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ユーロ相場予測

ユーロ・英ポンドともに底堅い展開に。対円取引で上値を効果的に狙うのが得策。
ユーロ・円135円以上、ポンド・円155~160円ターゲット。

9月のユーロ・ドル相場はユーロの上値が重たい展開となりました。月初8日、米債利回りの低下(ドル円で107円台までのドル売り)を背景にユーロ・ドルは8月高値の1.2070を上抜け、1.2092(月間高値)まで上昇しました。しかし、その後はドル金利の上昇とグローバルな大規模なユーロ買い持ちの持ち高調整(ユーロ売り)もあり、一貫してユーロの頭が重たい展開となり、米FOMCで12月の米利上げ観測が急浮上するとユーロ・ドルは1.18台まで下落しました。その後もユーロの軟調地合が継続しユーロは27日には1.1717まで下落しました。

当面のユーロ・ドルは1.17~1.21をコアレンジとしてユーロが底堅い展開を予想します。今後ユーロ圏インフレ指数が市場予想を大きく下回らなければ、金融政策の変更(テーパリング=金利上昇)が見えてきているユーロは底堅く推移しそうです。一方で米金利利上げ観測も台頭しており、8月までの一方通行的な対ドルでのユーロ買いは想定しづらいです。そういった意味では当面ユーロ・円の方が上昇余地はありそうです。目先、テクニカル面でのユーロ・ドルの上値ターゲットは2014年高値(1.3993)から2017年安値(1.0341)の半値戻し1.2167です。ユーロ・円は9月月央に昨年の年間高値132.32を上抜け134.40(月間高値)まで上昇しました。節目の135円が見えてきました。ユーロが売られた局面での131~132円は130円をバックに一旦ユーロの押し目買いとなるでしょう。

9月の英ポンド相場は英国利上げ観測の台頭から大きく上昇しました。1.29台でスタートしたポンド・ドル相場は月初、地政学的リスクの高まりを背景にマーケット全般にドルが売られる展開でポンドは1.33台まで急上昇しました。さらに英金融政策委員の過半数は向こう数ヶ月で金融緩和策の削減=金利上昇を見込む報道もあり、ポンド買いが進展、約1年ぶりの水準となる1.3660(月間高値)まで上昇しました。その後米FOMC後の米利上げ見通しや格付け機関ムーディーズの英国格下げ報道を受けポンドの調整売りから1.33台までポンドは売られました。

当面ポンド・ドルは英国の年内利上げ期待を背景に底固く推移する展開を予想します。一方、米利上げ観測の台頭もあり、ユーロ同様ポンド・円の方が上昇余地はありそうです。ポンド・円はチャートポイントの148円(昨年12月15日高値148.46、今年5月10日高値148.11)を完全に上抜けており、節目の150円も突破、160円方向が見えてきています。もちろんEU離脱交渉でポンドの上値は抑えられる局面は今後も随所にあるもののBrexit自体まだまだ先の話であり(移行期間が2年であれば4年後)、それまではインフレ率の高止まりを抑える目的で英国は多少の利上げが必要となりそうです。よって、ハードBrexitを先んじて昨年来織り込んだポンド売りの調整局面(ポンド買い戻し)が当面続きそうです。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

ドル円はレンジ切り上げ、ユーロドルは調整相場継続を予想

9月のドル円相場は、北朝鮮が水爆実験を実施したことで一時107.31円まで下げる場面があったものの、米FOMC後には12月米利上げ確率が上昇したことで上値を追う動きとなり、一時113.25円まで値を伸ばしました。

今後のドル円相場ですが、米雇用統計や米CPIがよっぽど悪い数字にならない限りは、12月利上げを織り込む形で底堅い展開が続くと考えています。しかし低インフレであることから12月に利上げをしない可能性も十分に残っており、上昇幅は限られるでしょう。今年の4月以降、ドル円は108円~114円を中心としたレンジ相場が続いていましたが、12月の利上げが濃厚になってきたことで、今後は110円~116円とレンジを一段切り上げての推移になると予想しています。

ユーロドルはECB政策理事会で成長率見通しが上方修正されたことで、9月8日には1.2092ドルと最高値を更新したものの、その後は米12月利上げ確率が上昇したことやドイツ総選挙の結果が嫌気されたことで弱い動きとなり、一時1.1715ドルまで下落となりました。5月の仏大統領選以降、ECBの量的緩和縮小開始期待からユーロドルは一本調子で上がってきましたが、ここまで調整らしい調整もなく上がってきたのは、米利上げ後ずれ懸念があり、ドルが売られやすい地合いであったことも一因でしょう。ECBが量的緩和を開始する前の水準である1.20ドルに到達したことに加え、ここにきて米12月利上げ期待が高まってきたことから、しばらくは調整局面が続くと考えています。1.16ドル~1.20ドルでのレンジ相場を予想しています。

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