鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

109~112円をコアレンジとして、110円超の値固めを模索する展開継続
110円近辺から110円割れはドル戦略的ポジションの買い場

5月のドル円相場は110円超の値固め相場を模索した展開に終始しました。4月の一連の経済的・政治的リスクに慎重な相場を過ぎて4月末からのリスクオンモード(ドル買い戻し)の流れを引継ぎ、6月FOMCでの利上げ期待が再台頭、それに伴う米長期金利の上昇を支えに月央11日には3月中旬以来の高値となる114.37(5月高値)までドルは上昇しました。しかしその後、トランプ米大統領の捜査妨害疑惑(コミー前FBI長官解任)や秘密情報漏洩疑惑(ロシアゲート)を背景に米株が急落しました。リスク回避目的のドル売りから18日には110.238(5月安値)まで急ピッチでドルは下落しました。その後は材料難の中、総じて111円台を中心とする狭いレンジでの神経質な値動きが続いて月末を迎えました。

当面のドル円相場は109~112円をコアレンジとした神経質な値動きとなりそうです。
中期的(2017年夏以降)にはドル円が115円超へ向かうとの予測に変化はないものの、今直ぐにドル円を大きく動かす要因は見出しにくいです。FRBによる6月利上げ(6/13.14のFOMC)はほぼ織り込み済み(5月末時点の利上げ織り込み度は89%)であり、今後は米経済指標の堅調さや米政策の進展に注目しつつ、現在低位安定している米長期金利(米10年債利回り:概ね2.2~2.4%で5月は推移、114円台時に2.41%を示現、5月末時点で2.21%と下限域)が上昇すればドル買い、一方トランプ大統領に対する不確実性は今後もくすぶり続けることが想定されるため、米財政刺激策の規模減少や実現遅延の話題となれば更なる米金利低下を促し、ドル売りの要因となるでしょう。

節目の110円を割れると109円程度の円高は想定せざるを得ません。しかし、110円Lowから110円割れの局面は中期的なコアポジション作成の絶好のドル買い局面と想定します。注目材料として6月利上げ後のその次の利上げが9月なのかそれとも12月に後ズレしてしまう可能性が出てくるのかが焦点となります。

現時点では今年あと2回の利上げ、トランプ政権の減税や財政刺激策が遅延して部分的に実現し、米国景気浮揚が2018年にずれ込み、来年3~4回の利上げがあるとの金利先物市場の予測をベースに、日米金利差拡大からドル円の上昇トレンドが継続するとの見方に変更はありません。米景気動向、トランプ政策のメルクマールである米長期金利(米10年債利回り)を注視しながら、110円近辺のドル押し目買いを引き続き推奨します。ただ、一方通行のドル上昇は考えづらいので、米長期金利が上昇してドルが買われた局面では一部ドル売りの利食いをする回転売買が短期的には有効と思われます。

当面の上値の目処は114円程度までです。下値の目処は110円をしっかり抜けてくるとテクニカル分析上のチャートポイントが集結する109円程度が目安であり、4月17日安値である108.134が意識されます。

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ユーロ相場予測

ユーロ・ドルは1.08~1.13レンジ、ユーロ上昇局面で戻り売り
英ポンド・ドルは下値模索、1.30近辺は売り

5月のユーロドル相場は、ユーロの上値を試す展開となりました。仏大統領決戦投票の結果マクロン氏が勝利したことを受けてユーロ・ドルは年初来高値を更新、節目の1.10を上抜け、その後トランプ大統領のロシアゲート疑惑や捜査妨害疑惑が起因したドル売りからユーロは更に上伸しました。昨年11月以来の1.12超えを示現し23日には1.1268(5月高値)までユーロは買われユーロ堅調地合の中1.11台後半で月末を迎えました。

今後はユーロの超金融緩和政策解除を背景としたユーロ買いと、政治的リスクを中心にユーロの下値を模索するユーロ売りとの拮抗した展開となりそうです。目先の焦点は6/8のECB理事会です。超金融緩和政策の見直しが見込まれてユーロは5月に1.12台まで上伸したものの、ここにきてドラギ総裁が現状政策の維持を強調していることです。またバイトマン独連銀総裁も追認していますが、ECB理事会で緩和解除について議論する可能性もありそうです。緩和解除の政策方針が示されればユーロ・ドルは1.13台超まで買われる可能性が高く、ユーロ・ドル相場のレンジ切り上げとなるでしょう。

逆に政局不安としては以下のことが挙げられます。
①伊レンツィ首相が解散総選挙(秋)に前向きな考えを表明したこと(伊株式市場急落)
②スペインのカタルーニャ自治州独立運動が再燃したこと
⇒今年9月に住民投票を強行して最終的な是非を問うことを表明したこと。また最大野党の党首選(5月)にて強硬派のサンチェス氏が返り咲いたことにより議会解散に追い込まれるとの観測が浮上していること。
③ギリシャ政府が債権団との合意が得られなければ次回の支払いをしないことを検討していることなど、
ユーロにとってネガティブな話題が5月末に続出している状況です。一旦5月のユーロの上値を確認した展開となるかが焦点です。

グローバルな投機筋のユーロ持ち高は(シカゴIMM先物)5/9時点でユーロが2014年5月以来のネットロング(ユーロの売り持ちから買い持ちへ)に転じて3週連続でユーロの買い持ち量は増加しています。節目の1.10を割れれば短期的なポジション調整(ユーロロングの投売り)により1.08レベル(5月安値は1.0839)まで簡単に下落しそうな環境にもあります。基本的な考え方として、年内は米欧間の景気及び金利格差は基調としてユーロはドルに対して劣勢である方針に変更はなく、引き続きユーロの戻り売り一部押目買いが有効にワークしそうです。ただ当面はユーロ景気改善の観測が起因したECB超金融緩和からの正常化の話題が度々浮上することも見込まれ、ユーロの下値も1.08程度で限定的と考えます。

一方、5月の英ポンドは英経済指標の堅調地合と6/8英下院に関する世論調査でメイ首相率いる与党保守党のリードが報じられる中、ポンド・ドルは月間を通して底堅く推移し、18日には昨年の9/30以来となる1.3000を上抜けしました(5月高値1.3048)。その後は月末にかけ世論調査で野党労働党とのリード差が縮小した事を受け、ポンドは全面安となり1.28台前半まで戻して月末を迎えました。

今後最大の焦点は6/8の選挙結果です。保守党が議席数を伸ばせるかどうか?しかし、議席数を伸ばしてポンドが買われたところは絶好のポンドの売り場と想定します。議席数にかかわらず、総選挙後すぐにEUと離脱交渉が始まることから、BrexitについてはSoft Brexit(単一市場へのアクセスを優先する路線)よりもHard Brexit(移民制限を単一市場へのアクセスより優先する路線)の可能性が高いことには変わりはなく、メイ首相も合意なしにEUを離脱する用意があると過激な発言をしています。もし、保守党が大差で勝利できなければ(僅差で保守党が勝利するまたは議席数が過半数に届かない場合)ポンドは1.25方向へ下落する可能性が高いでしょう。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

ドル円は米FOMCまで上昇、米FOMC後に下落を予想

5月のドル円相場は、北朝鮮リスク後退や仏大統領選挙が波乱なく終わったことから月半ばには114.36円まで上昇する場面があったものの、トランプ政権とロシアの不適切な関係への疑惑が出てくると110.21円まで下落、現在も110円台での推移となっています。

6月は13、14日に米FOMCが予定されており、高い確率で利上げが見込まれています。トランプ政権への不信感の高まりからまだ利上げを織り込む動きとはなっていないものの、月初に発表される米ISM景況感指数や米雇用統計の結果が悪くなければ、徐々に利上げを織り込み始め、FOMC前には114円近くまで上昇する動きになると予想しています。しかし、その後は利上げの有無にかかわらず、下落に転じる可能性が高いと考えています。過去3回の利上げの際も利上げ後にドル円は下落しており、利上げ発表後の瞬間的な値動きは別として、利上げ実施=ドル高にはならないでしょう。今年3月の利上げの際は利上げ前に111円台半ばから115円台半ばに上昇、利上げ後に110円近くまで下落しており、6月のドル円相場はこれに近い動きになると考えています。

ユーロドルは、仏大統領選挙の結果を好感し、約半年ぶりに1.10ドル台を回復、一時1.1267ドルまで上昇しました。ここまでの上昇が急だったため、しばらくは日柄調整から1.10ドル~1.13ドルあたりで横ばいの動きになると考えています。一部では6月ECB理事会で緩和バイアスの解除が予想されているようにユーロ圏の経済は改善してきており、調整終了後は2016年の高値1.1614ドルを目指した動きになると予想しています。

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