鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

105±3円のコアレンジ。ドルの戻り売り、押目で部分利食い(ドル買い)。

7月のドル円相場は、6月23日の英国(Brexit)発世界市場混乱の影響と、安全資産としての円買い需要(円高傾向)が根強く残り100~102円レベルの円高傾向でスタートする中、8日には強い米雇用統計の発表後一瞬ドル円は跳ね上がり102円後半まで戻った局面はあったものの、すぐに米金利低下が進んだ局面では再度100.00まで売られました。その後、安倍政権の参院選勝利とバーナンキ前FRB議長の来日を機に、ヘリコプターマネー(金融政策による財政ファイナンス)のキーワードが飛び交い、月末の日銀追加緩和及び政府の大規模な財政刺激策への思惑からドル円は急騰、足元の米経済指標の堅調にも助けられ、予想外に底堅いドル買い展開となり、一時107円半ば(107.49)までドル円は上昇しました。その後過剰な期待の前に一旦ポジション調整から103円台前半(103.37)まで売られる値動きの激しく流動性が枯渇したマーケットの中、月末の日銀会合をむかえました。

政策会合では予想よりも‘最小限の追加緩和’に留まり、失望感から月末東京時間のドル円相場は103円台半ばとやや円高傾向で終了しました。今後は米経済指標の堅調さがどれぐらい持続するかがドル円相場の行方の鍵となりそうです。当面105円±3円程度のレンジ相場となりそうです。7月高値の107.49まで戻す局面で本邦輸出企業の105円付近まで一時的に引き下げていたドル売りオーダーは一旦吸収されました。引き続き本邦輸出企業は社内目標レート110円近辺のドル売りでドル円の頭を押さえる要因となるものの、100~105円の円高恐怖症は一旦緩和されました。

注目は8月3日にも発表される政府の経済対策の「真水」部分。見かけの規模が大きくても「真水」が3兆円以下であれば、材料出尽くし及び失望感からドル円は下落に転ずると予想します。更に米経済指標の堅調さが維持されないようであれば更なる円買いが加速し、100~105円レンジに逆戻りする可能性も高いです。現在の緩やかな米景気回復から来る12月までの利上げ確立を背景にしたドル買いが失速するようであれば再度100円割れも想定できます。本邦輸出企業の継続的なドル売りニーズや年金資金等のヘッジニーズなど中期的な展望に立てば依然として110円以上の円安に上伸していくよりも100円を割り込む可能性の方が引き続き高いと思料します。突発的な材料でドル円が上昇した局面では丁寧にドルの戻り売りを推奨します。

目先のターゲットは107.50、次は心理的抵抗ラインである110円以上です。一方、100円を挟んだ円高恐怖症も一旦緩和されたことから、思わぬ100円割れは部分利食いの局面と考えます。また、本邦年金資金は外国証券追加投資のドル買い目的で引き続きドルの押目を拾う(ドル買い)戦略に変更はなく、円安の牽引役にはならないものの急激な円高を阻止するサポート役としては引き続き市場に出てくることが予想されます。ドルの戻り売り先行、一部押目買い(利食い)を繰り返す戦略がワークしそうです。介入はないと考えてよいでしょう。

ユーロ相場予測

ユーロ、英ポンドともにショート(売り)ポジションキープ。戻り売り押し目買い戦略。

7月のユーロ及び英ポンド相場は6月の英国国民投票(Brexit,6月23日)の結果を受けて、英国及びユーロ圏経済の下振れ予想から全般的に両通貨ともに軟調地合に終始しました。ユーロ・ドルは軟調地合の中、基本的に米ドルの値動きに連動、7月はECB及びFRBともに政策金利を据え置き、大きなイベント効果もなかったことから、月間を通して狭いレンジ(1.09半ば~1.11台後半)で推移しました。目先はユーロ軟調地合の中、8月末に予定されているイエレン議長の演説に向けたドル動向に左右される展開を予想します。

基本戦略はユーロ売りポジションをキープ、目先のユーロ下値1.09、1.08水準で一部利食いです。逆に最近の米経済指標堅調地合が継続できず弱めの指標発表によりユーロの買戻しがあれば確実にユーロの戻り売りを推奨します。戻りの目処は1.11~1.12。1.15を超えてユーロが買われる状況にはありません。中長期的にユーロはパリティ(1ユーロ=1米ドル)を割れて下落していく方針に変更はありません。

一方、英ポンドはユーロよりもボラティリティも高く相場の上下動及び値幅が激しい中、月初の1.32台から一気に心理的サポートラインである1.30を割れて一時1,27台(1.2780)と年初来の安値を更新しました。その後メイ内相がキャメロン首相の後を引継ぎ、早期に次期首相決定となったことを受け、英ポンドへの不透明感が後退し、英ポンド・ドルは1.33台へ、更に英中銀の事前利下げ予想に反した政策金利据え置きによりショートカバーが入り、一時1.34台後半まで急騰しました。

今後も英ポンド軟調地合の展開が確実な中、目先のイベントは8月4日の英中銀(BOE)政策決定会議です。BOEによる金融緩和が織り込まれている状況下、市場予想より強い経済指標やBOEメンバーによるタカ派のコメントに対し反応しやすい状況(英ポンド買い)が続きそうです。そこは絶好の英ポンド売りを推奨します。下値の目処は1.30を再度割れると直近安値の1.2780、1.2500がサポートラインと予想します。しかし、ユーロと比較して英ポンドは値動きが激しいマーケットが当面続くことが予想され、ポジション運営は足早の方がベターです(利食い先行、確実に)。戻りも早いのでいくらでも英ポンドを売るチャンスはあります。更に、英ポンドに手を出す場合は、戦略はポンド戻り売り回転売買だが小額で投資することが望ましいです。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル 総合企画室 市場リスク管理マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

8月のドル円相場は月初に下落後、上昇を予想

7月のドル円相場は、英EU離脱後の下値を試す動きから7月8日には100.02円まで下げたものの、その後はリバウンド相場が続き、月末の日銀政策決定会合での追加緩和期待もあって、一時107.47円まで上昇する場面がありました。現在は日銀政策決定会合を控え、104円台での動きとなっています。

今後のドル円相場ですが、7月29日の日銀政策決定会合の結果次第で上にも下にも大きく動きそうです。まず、メインシナリオである日銀の追加緩和が市場の想定範囲内であった場合ですが、発表直後に107円近くまで上昇も材料出尽くしから反落、直近上昇が続いていたこともあり一旦102円~103円程度まで調整がありそうです。但し、その後は年初から大きく進んだ円高の修正局面となり、一進一退を繰り返しながら徐々に110円を目指した動きになると予想しています。次に現状維持となった場合ですが、失望感からドル円は急落、100円割れを試す動きになると思います。しかし、そのままずるずると円高が進む可能性は低く、下値を試した後は101円~104円での動きになると考えています。最後に、可能性は低いですがヘリマネ的な政策が導入された場合は、当日中に110円近くまで上昇、その後も財政規律の喪失が意識され、長期的に円安が続くことになると思います。

7月のユーロドルは、これまでのレンジを一段階切り下げ、1.095ドル~1.12ドルでの動きでした。英離脱に伴うEU経済の悪化懸念から上値が重く、今後も同様の水準でのレンジ相場が続きそうです。8月は1.08ドル~1.12ドルでのレンジ相場になると予想しています。

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