鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

108~112円コアレンジの中、ドルの戻り売り押目買い推奨。

 4月のドル円相場は、3月末イエレンFRB議長のハト派な講演(利上げ観測が大きくトーンダウン)及び月初の安倍首相による為替介入否定発言からドルは下落、110円の節目を遂に割り込み2014年10月31日黒田バズーカ第2弾発射時の安値(109.18)も割り込んで、為替介入警戒感の剥落と原油安、熊本震災による日本株安(円高)も相まって、ドル円は107円台(4月安値107.67)まで急落しました。その後22日通信社による“日銀マイナス金利での銀行融資検討”との金融緩和報道がきっかけとなり、ドル円は109円台から111円台後半まで一気に2円40銭もの大幅上昇となりました。

 急騰の理由として、節目の110円を割るような円高が起因してグローバルな投機筋(IMM)の円買い(ドル売り)ポジションが2008年以来の高水準に積み上がっていたことと、110円を上抜けたことによる断続的なストップロス(ドル買い円売り)の発動、更に週末のポジション整理も重なって大幅な急反発となりました。

 しかし、焦点の日銀政策決定会合(28日)では‘政策変更なし’が発表され、金融緩和への失望売りが膨らみ、ドル円は111円台後半(高値111.88)から一気に108円台後半まで暴落、その後109円台へと通信社報道前とほぼ同水準まで戻った。現在の為替市場は米経済の持ち直しと原油の再反発(40ドル台)、中国経済の落ち着き、FRBによる利上げ慎重姿勢も手伝って、世界的にリスク市場が反発し、それがドル円下げ止まり及び浮上の背景となっていますが、目先のドル円動向はあくまでも米経済指標次第です。

当面は米経済指標動向によってリスクのオン・オフ(ドル買い円売り、ドル売り円買い)の間を往復しそうだ。ただ、ここでドルの買い持ちに方針転換するものでもなく、目先、再度107円台をトライしそうです。当面はドルの好材料(伊勢志摩サミットに向けた経済対策を含む)によってドルが上がったところでのドルの戻り売り(円買い)をする方針をあくまでも継続・推奨します。

 目先ドルの上値のターゲットは111.88、114円台(2月高値114.88、3月高値114.55)、逆に下値の目処は107円台。4月のドル急落局面では、介入警戒感及び米利上げ観測の剥落と原油安や長引く熊本震災の材料が揃っても107円台は非常に底固いものでした(グローバルに円の買い持ちポジションが膨れ上がっていたことと、新年度による本邦年金等長期資金によるドルの大量な押目買いや海外投資家による円資産の為替ヘッジ比率向上によるドル買いが大きな要因)。

 また、5月中旬までは本邦長期資金によるドル買いは断続的に出動するのが例年どおりです。よって、再度108円を割れるような円高が急進した場合は本邦及び海外投資家によるドルの断続的な押目買いが想定されます。一方、上半期の主要輸出産業の為替目標レート水準は概ね110円台に修正されました。110円を超えてドルが上がったところでは確実にドル売りの予約が出ます。サミット(5月26、27日)や参院選挙(7月)を控える安倍政権はドル円の大幅下落は許容できず、為替介入(もどき)によって、105円を死守する可能性は非常に高いです。

ユーロ相場予測

ユーロの戻り売り増し戦略。英ポンドは買い戻される可能性高い。

 3月のユーロ・ドル相場は米金融政策(利上げ観測後退)に連動する取引展開となる中、1.12~1.14台の比較的狭くユーロが底固いレンジ相場に終始。逆にドル円で110円を割り込む円高局面もあり、ユーロ・円相場は121~127円台と円の高値を伺う展開も見られました。

ドラギECB総裁は引き続き緩和姿勢を表明し、根本的なユーロ下落トレンドに変更はありません。更に1:英国のEU離脱問題(Brexit、4月の世論調査で残留支持と離脱支持は拮抗)、2:6日オランダのウクライナEU加盟協定に対する国民投票で否決(オランダを除く27カ国は協定を既に批准)によるEUに懐疑的な見方(イタリア、ドイツ、フランス離脱問題台頭)は欧州全域に拡大しています。3:南欧の債務危機再燃懸念もでてきました(スペインでは総選挙後4ヶ月経過してもいまだに政権樹立ができていません。6月26日再選挙の予定。緊縮財政反対政権誕生の可能性浮上:ギリシャの債務問題再燃、IMFが支援撤退をほのめかす内部文章が流出したことによる関係悪化)。

英国のEU離脱(6月23日国民投票)が現実味を帯びてくれば、ユーロ相場や欧州株は急落し、リスクオフのグローバルな株式相場下落から来る逃避通貨円に資金が集中、円相場の急上昇を引き起こす可能性あります。ただ、当面のユーロ相場は最近のオバマ大統領による訪英により、EUから離脱した場合は米英関係に亀裂が入ることをオバマ大統領が明言。直近の世論調査では残留指示派が上回ってきました。目先のユーロ相場はBrexitの行方次第です。

残留が確実視されてくると英ポンドは対ドル・ユーロ・円で買い戻し歩調となるでしょう。グローバルな投機筋のユーロ売り持ちポジションは直近更に減少してピーク時の1/6まで縮小。併せてドルは1年以上ぶりに買い持ちから売り持ちに遂に反転。再度、ユーロを売る(ドルを買う)余力は十分にあります。ここからユーロが買われて上がった局面は丁寧にユーロの戻り売りポジションを積みましていくことを推奨します。

ユーロ・ドルで1.14台、1.15以上は絶好の売り増し場。ユーロ円は125円以上でユーロ売り、円が買われたところで部分利食いを繰り返す戦略。英ポンドはBrexitの行方次第(多分離脱しない)では、大きくポンドが買いもどされる(グローバルなポンドの売り持ちポジションはまだかなり大きい)可能性も高く、手を出さないほうが賢明です。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル 総合企画室 市場リスク管理マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

5月は持ち合いの展開を予想

 4月は新年度入り早々円高が進み、ドル円は7営業日連続の下落で107.61円まで下げる場面がありました。その後、108円~110円の狭い範囲での動きが続いていましたが、4月28日に予定されている日銀政策決定会合で「金融機関への貸出金利にもマイナス金利を検討する」というニュースが伝わると、売り方の急速な買戻しが進み、112円手前まで上昇しました。しかし、日銀政策決定会合の結果は結局現状維持となったため、現在は108円台後半で推移しています。

 今後のドル円相場ですが、中長期的な円高トレンドは変わっておらず、いずれ105円を目指した動きになると考えています。ただし、目先は107円台後半~111円のレンジ相場を予想しています。今年2月上旬に121円台から111円近辺まで急落した際には、4月に円高トレンドが再開するまで、日柄調整から1ヵ月半ほど横ばいの動きが続きました。この時と同様に、当面は4月上旬の107円台への下落に対する日柄調整から横ばいの動きになると考えています。投資にあたっては、いつ円高トレンドが再開してもいいように、新規取引は売りからのみ手掛けるのがよいと思います。

 4月のユーロドルは方向感に乏しい展開で、1.12ドル~1.145ドルの狭い範囲での動きとなりました。昨年12月の米利上げ以降、ドルインデックス下落に見るようにドル安相場となっていますが、ユーロドルはここ1年ほど1.14ドル台では上値が重い状態が続いています。ドル安の流れにのり、1.15ドルを明確に超えてくれば1.20ドル台も見えてくると思います。ただしそれまでは、レンジを意識した取引を行っていくのが良いでしょう。ストップを入れつつ、直近の高値安値を参考に取引を行っていくのが良いと思います。

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