鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

111~113円コアレンジ、ドルの上値(114~117円)を試すが重い展開。

 3月のドル円相場は、年初からの世界的リスクオフの要因となった原油安・元安が足元で落ち着きを見せる中、リスクオフの巻き戻しからドル円は月初より111~114円のレンジ相場で推移、ドルが底固い展開となっていましたが、17日の米FOMC(金利政策会合)にて予想よりハト派な結果(年内利上げを12月時点での4回に対し2回に示すなど)となり、2月上旬から継続しているドル売りが再加速、一時2月安値の110.99を割れ110.67を示現。その際、日銀の介入もどき(レートチェックの一種)が発動され、瞬時に1円ほどドルが買われ111円後半まで戻しました。

 その後これまでハト派一辺倒だった複数名の連銀総裁からタカ派発言が連続し(4月利上げの可能性まで示唆)ドルが買われ、2月からの円高の急激な動きは一旦落ち着いて再度112~113円台の狭いレンジ相場となりました。今後は当面、昨今のリスクオフの巻き戻しが先行しドル円の上値を試す展開が続きそうですが、ドルの自立反発が一巡するに連れドル円の下方リスクが再燃する展開(110円割れトライも)を予想します。

 3月期末開けの材料としては、本邦サイドは伊勢志摩サミット(5月)を意識した「10兆円」とも言われる経済対策とパッケージ(株価テコ入れ)で日銀黒田総裁から量的・質的金融緩和が発動されるかどうか?(日銀金融政策会合4/27・28)。ドルの自立反発の最大の鍵は米経済指標であり米経済の堅調さを確認できれば向こう1~2週間は世界的なリスクオン回帰からくる株価堅調、ドルの戻りを試す展開も期待できます。あくまで米経済指標次第。原油価格も産油国間の増産凍結をめぐる会合がドーハで4/17に決定していることからも追い風となります。

 一方で日本では、日銀短観で発表される輸出企業のドル円社内基準レートが注目。3月期までの平均為替レート119.40から大幅に円高修正される可能性があり(110~112円?)、4月年初から本邦輸出企業の一時的な円買い(ドル売り)がドルの上値を押さえる展開が想定される。また、グローバルな投機筋のポジション動向を示すIMMポジションは11週連続で円ロング(円の買い持ち)であり(明確に円安トレンドから円高トレンドに変換)、円の買い増し余地(ドルの売り増し)はまだまだあることから、ドルの戻り局面では短期筋のドル売り圧力は強いと考えます。

FRBが先のFOMCにて年内利上げを2回に示した(6月と12月)ものの、現在マーケットが織り込む年内利上げの回数は1回であり、突如降って沸いた4月利上げ期待(4/28、FOMC)は、もしそのとおりに期待が膨らめばその過程で一時的にドルを買うのも一つの手法で、FOMC発表直前(利上げしない、できないと予想)にドルを売る、米経済指標の堅調さも含めて「噂」でドルが買われた局面は確実にドルの売り場と考えます(「Buy the Rumore,Sell the Fact」です)。

 目先ドルの上値目処は2月戻り高値114.88、3月高値114.55、心理的抵抗線の115円を抜けた場合、115~117円は絶好の売り場と考えます。年初からのドル円相場は、たとえドルの好材料が出ても上値が限定される展開に失望して反落し、悪材料が出れば素直に下落しやすい展開が継続しています。足元のリスクオフ緩和局面では日銀の介入もどきもあり、下値110~112では徐々に底固さを保っています。

 しかし、大きなリスク要因は原油価格下落以上に中国人民元の金融政策動向。2月のG20で通貨安競争を避けるべきという議論がなされたにもかかわらず、2日後には預金準備率の引き下げを実施しました。財政出動だけでなくなりふり構わない金融政策にて実質人民元の切り下げに動くと、新興国・資源国だけでなく先進国まで再度リスクオフムードとなり、逃避通貨の円にグローバルマネーが集中、一段の円高が生じる展開となります。その場合、110円を割れたら一旦急激な円高に走る可能性が高いものの、サミット(5月)や参院選挙(たぶん衆参同時、7月)を控える安倍政権はドル円の大幅下落は許容できず、為替介入(もどき)によって、105~110は死守する可能性が非常に高いです。

ユーロ相場予測

ユーロ・ドルは1.08~1.12の膠着相場、ユーロ及び英ポンドの戻り売り戦略

 3月のユーロ相場はユーロ・ドル1.10を挟んだレンジの狭い展開の中、10日のECB理事会にて市場予想を上回る金融緩和発表にユーロ・ドルは一時1.08前半まで売られました。その後米FOMCのハト派結果を受けてドルが売られ(ユーロ買い)再度1.13台まで戻され、結局1.10を挟んだレンジ相場に終始しています。今後もユーロ・ドルはドル主導の展開を予想。目先1.08~1.12レンジを大きく逸脱しそうな展開ではないものの、当面ユーロの追加利下げの可能性が排除され、ユーロは下落しづらい環境にあります。

 ドルが買われるのか売られるのかでユーロ・ドル相場も連動しそうだが、目先レンジを上方にシフトする可能性も出てきている(そこは、1.15レベルは確実にユーロの売り場)。グローバルな投機筋の持ち高(IMMポジション)も年初移行徐々にドルの買い持ち・ユーロの売り持ちが両者ともに大きく減少(裏を返せば、ユーロが大きく戻すような局面があればユーロ売り・ドル買いが出やすくなった)。

 現在、ユーロ・ドル相場は1.10を挟んだ膠着相場が続いており、やや蚊帳の外においやられています。ただ、根本的なユーロ下落トレンドに変更はなく、短期的な相場展開に着眼すればユーロ・円で戻り(127~130円)を丁寧に売り(売り先行)、125円アンダーで買い戻す戦略の方がユーロ・ドル相場よりも効果的と思われます。

 一方、より注目されているのは英ポンド。「Brexit(英EU離脱問題)」を材料としてトレンドはポンド軟調・下落トレンド。3月の相場展開もグローバルなリスクオフからリスクオンの巻き戻し展開で、原油価格やコモディティ価格の改善、資源国通貨の買戻し等を背景にポンド・ドルは買い戻され、「EU離脱問題」が材料視されるとポンドが売られる(ドルが買われる)展開が継続。この展開は英国民投票(6/23)まで継続することが想定され、戻りのスピードよりも下落のスピードの方が速く、下落幅も大きなものが見込める相場状況であります。ポンドが買われた局面(ポンド・ドル:1.45以上)で丁寧にポンドを売り増して、落ちたところを(1.40割れ)を部分利食いするポンド売り持ちポジションを維持する戦略が当面ワークしそうです。ポンドは値動きが早く、値が飛ぶことも多いので小額ポジションでの運営が好ましいと思います。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル 総合企画室 市場リスク管理マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

円高トレンド再開を予想

 3月はリスクオフの巻き戻しから株価や原油価格が堅調に推移し、為替市場でも巻き戻しの動きから円安・ドル安の展開となりました。

 ドル円は3月17日の米FOMCで年内の利上げ見通しが4回から2回に引き下げられたことで、一時110.67円と2014年10月以来の安値を更新したものの、その後はロックハート米アトランタ連銀総裁、ブラード米セントルイス連銀総裁から相次いで4月FOMCでの米利上げ可能性について言及があったことで114円手前まで上昇しました。現在は3月29日にイエレン米FRB議長が早期の追加利上げに慎重な見方を示したことから再び下落し、112円台で推移しています。

 今後のドル円の相場展開ですが、2月11日の急落時の安値を3月17日に更新したこと、反発局面での上値が徐々に切り下がってきていることなどから、2月の急落以降続いているレンジは下に抜ける可能性が高いと考えています。相場も新年度入りし、そろそろ円高トレンドが再開してもいい頃合いではないでしょうか。ドル円は戻り売りを中心に売買を手掛けていくのがよいと思います。

 ユーロ・ドルは3月10日にECBが想定以上の追加緩和を発表したことで1.0820まで下落したものの、政策金利発表後の定例会見でドラギECB総裁が今後の追加緩和に否定的な発言をしたことから追加緩和打ち止め感が台頭、一転ユーロ買い優勢となり、現在は1.13ドル台で動いています。

 今後のユーロ・ドルの相場展開ですが、昨年3月以降1.14近辺では上値が抑えられており、難民問題やテロ懸念、6月23日に控えている英国のEU離脱など課題を考慮するとこのまま上昇していくことは難しいと思います。当面は1.10~1.13でのレンジの動きになる可能性が高いと考えています。

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