鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

110~115円コアレンジ、ドルの上値(114~117円)が重い展開。目先105~110円の可能性も。介入もどきがあればドル売り。

 2月のドル円相場は、1月末の日銀によるマイナス金利導入によりドル円が3円ほど円安に振れ、121円台を示現した流れを受けたものの、瞬発的なもので終わり、月初からの米国経済指標の減速、欧州発信用不安(ドイチェショック=ドイツ銀行破綻の噂)、原油安等から世界的な同時株安が連鎖的に起こりドル売り・ユーロ売りの展開に、ドル円は心理的なサポートライン115円をあっさり割り込みました。

 その後イエレンFRB議長の今後の利上げペース減速を示唆する議会証言もあり、世界的なリスクオフムードで逃避通貨である円に資金が一極集中、日経平均も14000円台を示現するなど日本株安と円高が連鎖反応で同時進行し円買いが加速、11日に110.99と2014年10月以来の110円台を示現、3年以上続いた円安相場が転換期をむかえる事となりました。

 115円を割れる急激な円高進行の過程で日銀によるドル買い介入の噂やショートカバーで114円台後半まで戻す局面もありましたが、米大統領候補から日本の為替介入や円安誘導に猛烈な批判的な発言もあり、かつ月末のG20で米国に続き欧州からも自国通貨安競争牽制発言が出たことで円買いが先行されやすい地合は払拭されませんでした。

 2014年10月末の黒田バズーカで一直線に125円台まで上昇してきたドル円相場の中、一度も底割れしていない115円の心理的サポートラインを今回遂に割れたことから、ドル円の世界観は変わってしまいました。当面、中期的な年内のレンジは110~120円に下方シフトし、目先105~110円に至る可能性も高く、115円以上のドルの上値が重い展開を予想します。現時点でアベノミクスは7月予定の選挙を前に最大の危機を直面しようとしている。2014年10月31日黒田バズーカの安値が109.18。110円を割れたら当局サイドの警戒感も更に高まってくることが予想されるが、これといって円高を止める手立てがないのが現状です。上記から110円台の為替介入はないと考えて問題ありません。

 一方、日銀も状況次第で更なる(マイナス金利の)利下げやQE追加などの対策を辞さない構えだろうが緩和策を出すとしても春頃(5月)がタイミング的には都合がいいです。逆に3月の相場展開を考えれば、今期の本邦輸出企業の社内為替目標レート(日銀公表、平均値)は119.40であり、今回の急激な円高進行により各社輸出予約が遅れているのが現状です。3月末が近づくにつれ115円を超える円安局面では随時ドル売り円買い需要が見込まれます。

 また、黒田バズーカ以来一貫してドルの押し目を支えてきた年金等本邦長期資金は115~125円でドルの買い持ちとなっており、思わぬ円安局面があれば彼らの為替ヘッジによるドル売りも想定されます。グローバルな投機筋のドルの買い持ち(円の売り持ち)ポジションは1月に解消され、2012年の秋以来の円の買い持ち(ドルの売り持ち)に転換したものの1月末の日銀によるマイナス金利導入で一旦スクエアとなり、その後の急速な円高により円の買い持ちポジションはまだ小さいです。逆にドルの上値では引き続きグローバルに円買い持ちは更に積み増されることも想定されます。世界経済減速、政策手詰まり、株安、原油安、Brexit(英国EU離脱問題)など不透明感がくすぶり続ければ、ドル下方リスクの方が高く110円割れを目指す展開を想定します。105~110円水準では日銀当局との覆面介入(レートチェック含む)とのせめぎ合いになるでしょう。ただ、介入(もどき)でドルが一時的に上昇した局面では確実にドル売りを進めます。

 当面ドルの戻り上値は114~117円程度で限定的になるでしょう。現時点で介入や追加緩和がドル円を持続的に上昇させることはほぼ不可能であり、中期的にドル円が上昇トレンドを保つうえでの最重要条件は米国経済指標の堅調地合です。現状では年後半から来年にかけてドル円は120円かそれ以上を目指す米国政策金利先物動向となっています(FF金利は2016年12月末時点までの金利据え置き確立が70%まで上昇しています)。

ユーロ相場予測

ユーロ戻り売り(1.10以上)先行、押目買い(1.05~1.08)の継続売買、英ポンド下落(「Brexit」)に注視。

 2月のユーロ相場は世界的なリスクオフムードの中、月初こそ1.08台の水準であったものの、その後のドル売りが「ドイツショック」を基点とした欧州発経営破綻とその影響によるユーロ売りを上回り、ユーロ高の展開となり1.13台まで上昇。その後「Brexit(英国EU離脱問題)」から英ポンド売りがユーロ売りを誘発し、ユーロ・ドルは再度1.10を割れる終始ユーロの個別材料がない中、狭いレンジ相場となっています。

 一方、ユーロ円はグローバルな円買いの流が進み132円台から123円台と大きく円高に傾きました。引き続きユーロは戻り売り(1.10以上)先行の押目買い(1.05~1.08)を推奨するものの、ユーロは当面対ドルよりも対円もしくは英ポンドの相場展開に引きずられる可能性が高く円及び英ポンド動向を注視すべきです。

 対円ではユーロの頭が重たい展開が引き続き続くでしょう。ドル円同様、介入もどきで円売り局面があればそこはユーロ売りを推奨します。英ポンドは殺人通貨といわれるように値動きが早く激しく、難しい通貨であるもの、6月23日の英国民投票までは英ポンドの戻り(ポンド・ドル、ポンド・円、ユーロ・英ポンド)を売って落ちたところを買い戻す(ユーロ・英ポンドは逆)戻り売り先行トレードがワークしそうです。国民投票まではポンド軟調地合が続くと予想します。ポンド取引をする場合はポジションを小さくして深追いしないことが肝要です。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル 総合企画室 市場リスク管理マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

円高の流れは一旦小休止し、ドル円は目先反発を予想 

 マイナス金利導入発表後、ドル円は一時121.68円まで上げたものの、発表翌日以降は9営業日連続の下落となり、2月11日には一時110.98円まで下落しました。現在は為替市場も一旦落ち着きを見せ、113円後半での動きとなっています。

 今後のドル円の相場ですが、中長期的な流れは円高に転換したと思われるものの、1月2月と大きく下落してきたことから、一旦円高の流れは小休止し、目先は買戻しの動きから反発すると考えています。上値目途としてはまずは114円台後半、115円を超えた場合は1月に終値ベースで抵抗ラインとなっていた117円近くまで上昇する展開を想定しています。

 ユーロ・ドルは、リスク回避姿勢の高まりから2月中旬に一時1.14手前まで上げたものの、こちらも市場の落ち着きから1.09台まで戻してきています。今後の動きとしては、短期的には1.08台前半、中長期的には当局の金融政策の方向性の格差が鮮明であること、欧州金融不安への不安が高まってきたことから、1.05を目指した動きになると予想しています。

 基本的には上記のように考えていますが、3月10日にECB理事会、14日~15日に日銀の金融政策決定会合、15日~16日にはFOMCが開催され、結果次第で今後の相場動向に大きく影響を与える可能性があります。特に注意が必要なのはFOMCでしょう。もし米利上げがあれば、発表直後はドル高になるものの、新興国通貨への不安からリスクオフが進み、1月2月のような荒れたマーケットになる可能性があります。その場合は、ドル円は110円割れを目指した動き、ユーロ・ドルは2月高値を目指した動きになりそうです。

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