鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

118-123円レンジ相場の中、値動きの早くて荒い展開。118-120円で押目買い、121-123円で戻り売りの継続

 1月のドル円相場は、年初から世界的なリスクオフムードの流れが進む中で、逃避通貨としての円に買いが集中、一時昨年のチャイナブラックマンデー(8月24日)時に示現した116.15を下抜け、昨年の年間最安値(115.86)にせまる115.98まで下落しました。

 中国景気減速懸念の高まりやそれを受けた原油価格下落(一時1バレル26ドル台まで下落)、米経済指標も低調になったことから米株は続落(一時、チャイナブラックマンデー以来の15,500ドル近辺まで下落)、日本株も大幅続落、円高も加わり日経平均は昨年10月来16,000円近辺まで下落しました。

 その後は欧州や日本の金融当局が追加緩和に踏み切るとの期待が高まり反発、ドル円は118円台後半まで戻す非常に値動きの荒い展開が続きました。その後月末の日銀政策決定会合で「マイナス金利導入」という予想外のサプライズ的な追加金融緩和が発表され、ドル円は118円台半ばから大幅反発、一時121.70まで円は売られ121円前半で月末クローズしました。

過去の米利上げ局面と同様、現在は12月の米利上げサイクル入り後の数ヶ月の特徴的現象として、米国の強い経済指標や継続的な追加利上げ観測による米金利先高観が必ずしもドル円上昇のサポート要因とはならない状況となっています。加えて中国要因及び原油安が重石となり目先中期的なドル高機運も弱まっています。

 当面は今後強めの米経済指標は中期的なドル高基調のサポートとはなっても、短期的なドル上昇要因とはならないでしょう。日銀による「マイナス金利導入」も一時的なアナウンスメント効果はあっても、不透明な世界経済及びリスクオフムードを払拭するほどのインパクトはありません。

 また、グローバルな投機筋の円売り(ショート)ポジションも低水準のまま維持されており、ドルを買えていない人は相変わらず多いようです。

中国、原油、米経済動向に神経質な展開が継続し、ドル円も上値は限定的(12月の日銀緩和措置補完時に示現した123円台半ば)で下方リスクの方がまだまだ高まる展開が続くと予想します。年初来ドル円の押目で断続的にドルを買っている本邦年金等長期資金(ドルの買いきり玉)がどうドル円の120円割れ(116~120円)水準をサポートするか、また非常に重要な115円のテクニカル・ポイントを防衛するかが当面の焦点です。

 2014年10月末の黒田バズーカで一直線に125円台まで上昇してきたドル円相場の中、一度も底割れしていない115円の心理的サポートラインを割れるとドル円相場の世界が変わり一時的に110円方向となるでしょう。しかし、それはアベノミクス崩壊を意味することになるので今回同様、日銀の追加緩和策(マイナス金利幅の拡大)や要人の口先介入等で政府・日銀が115円を死守することは確実でしょう。

 目先は引き続き、値動きの早くて荒いボラティリティの高い展開が予想されます。短期的な相場トレードの場合はドルの押目118~120円を拾い(ドル買い)、戻り(121~123円)売りを繰り返し継続するトレードが得策と考えます。その場合もあまり大きなポジションや長くポジションを持たない方が良いでしょう。流動性が枯渇した中、1~2円簡単に落ちたり、戻ったりすることが予想されます。グローバルな投機筋のドルの買い持ち(円の売り持ち)ポジションは1月に解消され、逆に2012年の秋以来の円の買い持ち(ドルの売り持ち)に転換しました。

 しかし、月末のショートカバーでそれも吐き出され、現在ドル円のグローバルポジションはスクエア(±0)に近いでしょう。また、世界経済が不透明で日欧金融当局がハト派(金融緩和)的スタンスで臨む中、米国の利上げ観測はドル独歩高を誘発することになります。現状から米国は3月の利上げをしづらい環境にあることから、当面ドルの戻り上値は限定的になるでしょう。突発的にドルの戻りがあれば(122~124円台)は短期的には絶好の売り場になると考えます。

 中長期的な相場展開に着眼したトレードの場合は、米国利上げサイクルに沿った米国の景気浮揚と金利上昇から来るドル円120円台後半への中期的上昇の見方は変更していません。よって、ドルの押目118~120円を確実に拾い(ドル買い)、目先時間がかかる(数ヶ月)かもしれないが11月の米大統領選に向けドルが上昇していく過程で123、125、128円と断続的に部分利食いをできるドルの買い持ちポジションを随時構築していく手法が得策と考えます。もし再度115~117円台があれば、ドルの買い持ちポジションの平均持ち値の改善(短期的な押し目買い、戻り売りを繰り返して)を図る絶好の機会となるでしょう。現時点で年頭の挨拶で相場予測した今年ドル円上昇の相場展開に変更はありません。

ユーロ相場予測

ユーロ戻り売り(1.10~1.15)先行、押目買い(1.05~1.08)の継続売買

 1月のユーロ相場は世界的なリスクオフの流れが進み円買い・新興国通貨安となる中、ユーロ・ドルはECB理事会でのドラギ総裁による3月追加緩和検討との発言があっても、1.07~1.10の小動きで推移。逆にECB追加緩和期待により、ユーロのグローバル投機筋のポジションは、足元過去最大までショートポジション(ユーロの売り持ち)が増幅しました。

 また、ドラギ総裁発言を受け某大手金融機関(GS)は、今年のユーロ・ドル予想を下方修正したりしたものの市場のユーロ売り地合は弱く、レンジ相場を脱却できない展開となっています。目先、米国の弱い経済指標が相次ぎ、3月FOMCでの利上げ予想が完全に遠のくドル売り展開にでもなれば、逆にユーロは買われやすくなりユーロのショートカバーによるグローバルポジションの巻き戻しが入り、元の1.10~1.15のレンジに逆戻りする展開も十分に有り得るでしょう。

 当面、下値は昨年春に2回止められた1.05を割れることはないでしょう。目先はユーロ売り持ちポジションをキープしながら短期売買(1.05~1.08でユーロ一部買い、1.10~1.15アッパーでユーロ売り)をしてユーロの売り持ちポジションの持ち値を改善させ、中期的な1.05アンダーで利食いをかける戦略を推奨します。最終的には、1ユーロ=1ドルのパリティを示現してユーロが更に売られていく相場展開に変更はありません

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル 総合企画室 市場リスク管理マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

マイナス金利導入で、ドル円は相当な期間レンジ相場が続くと予想

 昨年12月の米利上げ後、ドル円は下落の一途をたどり、今年1月には一時115.96円まで下落したものの、日銀がマイナス金利を導入したことから大きな反発を見せ、現在は121円台での動きとなっています。

 ドル円の今後の見通しですが、米利上げにより中長期のトレンドが円高トレンドに転換する可能性があったものの、今回の日銀の行動により、相当な期間116円~125円のレンジ相場が続きそうです。116円付近まで円高が進んだ場合、日銀が更なる追加緩和を行う可能性が高く、下値は堅そうです。一方、上値も昨年の黒田日銀総裁の円安けん制発言や米半期の為替報告書から、125円以上の円安は日米とも望んでいないことが窺え、上値も相当重たそうです。米国が金融緩和に転じるなど大きな変化がなければ、年内はこのレンジ内に収まる可能性が高いと考えています。

 目先で言えば、日銀のマイナス金利発表まで上値となっていた119円を下値に、米金利発表時の水準123円近辺を上値としたレンジ相場となるのではないでしょうか。個人的にはドル円の買戻しの動きが収まれば、一旦119円を試す動きになると思います。

 ユーロ・ドルに関しては、直近1.07~1.105のレンジ相場が続いていますが、3月までは引き続きこのレンジ内での動きが続くと考えています。米利上げペースは想定よりも緩やかになりそうなものの(=ドル安要因)、ECBが3月の理事会で追加緩和を行う可能性があり(=ユーロ安要因)、3月のFOMC、ECB理事会までは方向感の出ない相場が続きそうです。

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