鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

111±2円のレンジ展開の中、ドルの戻り上値を探る展開。 「ドルの押目買い一部戻り売り」でドルロングをキープする戦略継続。

4月のドル円相場は1~3月の流れ同様、トランプラリー(昨年11~12月の約2ヶ月で18円以上の一方通行的なドル高円安)のドル高に対する調整局面が継続、地政学リスクの起因から更なるリスクオフモードとなり、節目の110.00円を遂に割れドルは108円台前半まで売られたものの、一連のイベント経過後はドル買い戻しが優勢となり、月末には111円台に戻しました。

月初110円台でスタートしたドル円相場は、米国のシリア空爆、北朝鮮問題などを巡り地政学リスクが起因した更なるリスクオフモードからドルが続落、節目の110.00を割れ4月中旬(4/17)には昨年11月15日以来となるドルの安値108.134(4月安値)を示現しました。その後も弱めの米経済指標から6月利上げ期待の後退、北朝鮮の地政学リスク警戒、米中首脳会談、日米経済対話、G20などがドルの上値を押さえ108~109円台で推移していたドル円は23日の‘仏大統領選挙’にて「マクロン、ルペン両候補の決戦投票進出」という市場のメインシナリオに終わったことを受けて、最大のリスク要因が払拭されました。「リスクオフ」ポジションの巻き戻しから、一気にドル買い優勢となり110円を上抜けて上昇しました。月末の米税制改革案の骨子(法人税率を35%→15%に大幅引き下げ)もドル上昇の追い風となり特に本邦長期資金(年金)の4月新年度入り後一連のイベントリスクから控えていたドル買い(ドルの買い切り玉)が一気にかつ継続的に出て111.78 (4月高値)までドル円相場は戻し、ドル買い優勢の中111円台で月末を迎えました。

今後のドル円相場は短期的には111±2円水準でのレンジ展開が続くと予想します。4月の一連のイベントリスクを無事こなし、トランプラリーの調整局面(継続的なドル売り)は期間的にも一旦終了したと判断できます。北朝鮮による地政学リスクの警戒はまだまだ続くと思われるが短期的なドルの下攻めは一旦終了、再度リスクが浮上してきたとしても4月のドル円の下限108円を突破して105円方向へ下落する可能性は仏大統領選の不確実性が晴れたことで排除されたと考えます。

一方、4月の一連の懸念材料が終了し、今後はドルの好材料に反応したドル買い(リスクテイク枠を拡大)が主流となった市場展開になりそうです。4月末に米税制改革法案の骨子が発表されましたが、依然トランプ政権の政策実現性については否定的論調がまだまだ根強く、ドルの上値を押さえる要因とはなるものの、除々に「部分的な実現」が台頭しつつあるのも事実です。

一気にドルの買い戻し展開とはならないと考えますが5月以降発表される米経済指標が4月よりも強めの数値が出れば6月の利上げ期待は再度高まってくるでしょう。また、仏大統領選にて資金逃避先となって買われていた米国債(金利低下、一時2.2%割れを示現)は資金が逆流し(米国債売り仏国債買戻し)現在利回りは2.3%台まで上昇しています。再び日米金利差拡大によるドル円の上昇が見込まれそうです。

5月はドル円の110円超の値固め相場を想定し、引き続きドルの押目買い、ドルの一部戻り売りを継続するのが一番ワークしそうです。今後は6月FOMCでの利上げ織り込み度(現在は50%割れ程度)に着目し、織り込み度が下がりドルが売られればドルの押し目買い、織り込み度が上昇してドル買いとなればドルの一部戻り売りを継続回転させ、ドルロング(ドルの買い持ち)をキープする戦略を推奨します。

当面の上値の目処は114円程度です。もし仮に6月利上げが現時点の50%程度から100%まで織り込めば相関係数から計算すると114円半ばまで上昇することになります。下値の目処は昨年度の最安値98.90円(6/24)と最高値118.66円(12/15)の半円戻しの108.84です。その他テクニカル分析上のチャートポイントが集結する109円程度が目安です。以上から短期的にはドルの下値底打ち、ドルの上値戻りを試す展開を予想します。中長期的な観点ではトランプ政策による景気堅調と利上げを反映し、ドル円が2017年夏にかけ115円以上のドル高円安に回帰するとの予想展開に変更はありません。

ユーロ相場予測

ユーロドルは1.07-1.11のコアレンジの中、戻り売り継続、英ポンドは上値トライ、ポンドドルで1.30以上の可能性、戻り売り押し目買いの足早な回転売買。 ユーロ、英ポンドともに「戻り売り押目買い」戦略。

4月のユーロドル相場は、仏大統領選の結果を受け大きくユーロが買い戻される展開となりました。月初より仏大統領選を巡る不透明感がユーロ・ドル相場の上値を重くする材料としてユーロは一時1.06割れ(1.0581 4月安値)まで示現したものの、仏大統領選の結果を受けユーロは23日(日)の週明けに対ドルで大きく買われてオープン(金曜クローズ1.0726→月曜オープン1.0882)、その後も買戻しが続き26日には1.0951(4月高値)までユーロは買われそのまま1.09挟みで月末を迎えました。

また月初118円台でスタートしたユーロ・円相場もドル円が108.134まで売られる(円が買われる)展開では115円割れ(114.86)を示現したものの仏大統領選後は一気にユーロが買われ122円を窺う(121.98)展開までユーロは買われました。

今後はユーロがどこまで買い戻されるかが焦点となるものの短期的なユーロの上値はそれほど高くは想定していません。グローバルの投機筋のユーロ売り持ちのショートカバーが引き続き出てユーロが買われても1.12まではいかないでしょう。当面は1.07-1.11のコアレンジの中、1.0950以上はユーロの売り場と考えます。

目先のイベント、仏大統領決選投票(5/7)は波乱要因とはならない(Frexitには繋がらない)方向で既に市場は織り込み済みであり(‘まさかの結果’となればユーロ売り)、ドラギ総裁をはじめECBメンバーは足元ハト派的スタンスを打ち出してきており、6月のECB理事会での金融緩和解除が意識される可能性は低そうです。逆に米国の6月利上げ観測が更に台頭すれば米欧金利差拡大からユーロが売られる展開も十分想定されます。ただその場合、ユーロの下値も1.07割れの1.06台程度と限定的と考えます。引き続きユーロの戻り売り一部押目買いが有効にワークしそうです。ECBの金融緩和解除よりもFRBの金融引き締めペースの方が速く進み、ユーロドルの中長期的な見方であるユーロ売りドル買い方向に変更はありません。

一方、英ポンドは月初1.25台でスタートし、一時1.2366(4月安値)まで売られる局面があったものの、メイ英首相が「6月8日に総選挙を実施する」と表明するとメイ政権基盤強化が市場で評価され一気にポンドが買われ1.2905まで上昇しました。その後もポンド買い優勢のまま月末を迎えました。

目先、上値は昨年の9/30以来の水準となる1.3000へ上昇する可能性は高いですが、1.3000以上のポンド上値は中期的には絶好のポンドの売り場と想定します。下院総選挙(6/8)により政権を強化してもBrexitの方向性はなんら変わるものではなく、現在のポンド買いは一時的なショートカバーによる結果とみた方が無難です。逆に仏大統領決戦投票(5/7)にてマクロン新大統領が決まれば、彼は親EU反Brexit派であり、対英最強国として英国のBrexitに立ち向かうことが予想されます。英国にとって対EU交渉は難航が予想され、これまでどおりのハードBrexitの方向性には変化はないでしょう。更に6月米利上げ観測が台頭すればポンド売りドル買いの展開も想定され、引き続きポンドの戻り売り一部押し目買い戦略を継続することを推奨します。ただ、ポンドの下値も1.27程度と底固そうです。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

ドル円は上値を試した後に横ばい、ユーロドルは決選投票後に1.10ドル超えを予想

4月のドル円相場は、北朝鮮を始めとした地政学リスクの増大やフランス大統領選挙への懸念からリスクオフ機運が高まり、17日には108.11円まで下落する場面があったものの、フランス大統領選挙の第1回投票が波乱なく終わったことや北朝鮮情勢も一旦落ち着きを見せたことで、結局は往って来いの展開となりました。

5月のドル円相場ですが、下値を確認したことから月初は上値を試す動きになると思います。ただし、直近の米経済指標が冴えないことから大きな上昇は見込みづらく、3月31日高値112.19円が戻りの目途になると考えています。上値確認後は、次の大きな材料が出るまでは110円から112円を中心としたレンジの展開を想定しています。5月発表の米雇用統計やISM景況感指数が悪ければ、早期の米利上げ期待が後退、再度108円を試す動きにつながる可能性もあり、米経済指標の結果には注意したいところです。

4月のユーロドルは、フランス大統領選挙までは方向感のない展開が続いていましたが、フランス大統領選挙後はEU離脱懸念後退を好感し、年初来高値を更新して1.095ドルまで上げる場面がありました。フランス大統領選挙の決選投票は5月7日に予定されており、それまでは不透明感が残ることから更なる上昇は難しいと思われるものの、決選投票でマクロン候補が勝てば、足元のユーロ圏の経済指標好調も手伝って、ユーロドルは1.10ドルを超えて上昇していく展開になると予想しています。

バックナンバー

鶴のヒトコエの過去の記事を確認できます。

 

【ご注意】
  • 本ページは、投資判断にあたり参考となる情報の提供を目的としており、金融商品の売買を勧めるものではありません。投資の最終的な判断はお客様ご自身の責任でされるようお願いいたします。
  • 本ページでは、当社が信頼できると判断した情報を紹介しておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。
  • 当サイトに基づいて被ったいかなるトラブルや損失・損害等についても、弊社及び情報提供元は一切責任を負うものではありません。