鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

110~115円コアレンジの中、ドルの下値を探る展開、108円程度までの円高視野 「ドルの押目買い戻り売り」でドルロングをキープする戦略。

3月のドル円相場は1~2月の流れ同様、トランプラリー(昨年11~12月の約2ヶ月で18円以上の一方通行的なドル高円安)のドル高に対する調整局面が継続、ドルの上値が引き続き重たく、更なる下値を模索する展開となりました。月初112円台でスタートしたドル円相場は、イエレンFRB議長のタカ派発言もあり、一転して15日の米FOMCでの利上げ観測が高まったことからドルが買われ、14日には115.195(3月高値)まで値を上げました。FOMCでは予想通り25bpの利上げが発表されたものの、2017年末及び2018年末のFF金利見通しが据え置かれたことで今後の利上げ見通しも従来通り緩やかになるものと市場は判断し、ドルは下落しました。その後月末にかけトランプ政権がオバマケア代替法案の下院での採決を断念し、法案を撤回したことから今後のトランプ大統領政権に対する懐疑的な見方が浮上し、ドルは急落しました。2月安値の111.596を割り込み、27日には110.116(3月安値)までドルは売られました。その後112円台まで値は戻して月末を迎えました。

目先のドル円相場は110~115円のレンジをコアに引き続きドル高調整局面継続、ドルが買われ上値トライというよりも更なるドルの下値を模索する展開の方が強いと予想します。トランプ大統領はオバマケア代替法案撤回後、税制改革に優先的に取り組む姿勢を示しているもののトランプ政権の政策実現能力に疑念が増したことは確かであり、トランプラリーにより構築されたドルの買い持ちポジションの調整が当面続きそうです。

昨年来ドル円相場と相関性の高い米10年債利回り(金利上昇:ドル高、金利低下:ドル安)も3月の利上げ局面時には2.64%まで上昇した(2月中の高値2.5%を上抜けた)もののそれが頭打ちとなり、月末29日にはドルが下落して110円前半まで落ちた局面では2.35%まで下落しました。今後1月以降レンジの下限である2.3%を下抜けるような展開となるとグローバル投機筋の断続的なロスカットによる一段の金利急落が想定され、その場合は何度も跳ね返された心理的サポートラインである110円を下方ブレイクし、トランプラリー(101.20→118.66)の半値戻しである109.93も明確に下抜けることが予想されます。

ただ、110円割れの円高局面は絶好のドルの買い場と考えます。今回の調整局面での下値の目処はトランプラリーの61.8%戻しである107.87です。よって、108円までの円高リスクは想定せざるを得ません。一方で足元発表されている一連の米経済指標は相変わらず堅調地合であり、今後も米経済指標の堅調さが確認されれば、目先一時的にドル買いになることも十分想定されます。そこはドルの買い持ちポジションの一部利食い(ドル売り)で回転をきかせる運営が当面ワークするでしょう。

材料としては、4月には米財務省為替報告の発表と日米経済対話の開始が控えている中、投資家はドルを買いにくい環境にあることです。また、4月新年度入りは本邦機関投資家の外国証券投資が増加し、例年であればドル買い材料であるものの、今年度は英国のEU離脱関係(Brexit)に加え、仏大統領選(4/23、5/7)、米国暫定予算期限(4/28)など不透明な政治イベントが多数控えています。イベント通過までは投資を控えることも想定され、本邦サイドからもドル買い材料とはなりづらいでしょう。更に3月の相場展開で110円近くまでドルの軟調地合となったわりにはグローバルな投機筋のドルロングポジションは相変わらず大きく、更なる下方新値トライとなればドル急落の可能性も秘めています。以上から短期的にはまだまだドルの下方リスクの方が大きく、ドルの戻りの鈍い値動きの展開を予想します。

当面トランプラリーのドル高に対する調整局面が続くと予想されますが、足元の米経済指標は堅調地合であり、中長期的な観点ではトランプ政策による景気堅調と利上げを反映し、ドル円が110円前後で長く留まることはなく、2017年夏にかけ115円以上のドル高円安に回帰するとの予想展開に変更はありません。

引き続き‘ドルの押目買い戻り売り’を継続し、ドルの買い持ちポジションをキープしながら平均持ち値の改善を図る戦略を推奨します。注目指標である「米10年債利回り」「6月FOMCの利上げ織り込み度」に着目しながら金利が低下してドルが落ちたところでドルを買い、金利上昇によりドルが上がったところで一部ドル売りを繰り返すのが望ましいでしょう。

ユーロ相場予測

ユーロは上値を試す展開、英ポンドはBrexit交渉難航による下落予想。 ユーロ、英ポンドともに「戻り売り押目買い」戦略。

3月のユーロドル相場は、トランプラリー調整のドル売り要因とECBテーパリング懸念(0金利政策及び量的金融緩和の解除)より、月央から月末にかけ一転ユーロ買戻しの展開となりました。月初、米利上げ観測を背景とするドル買いユーロ売りの流から1.05割れ(1.0495)でスタートしたユーロドルは月央にかけドラギECB総裁の追加金融緩和否定発言から一転ユーロ買戻しの展開となり、またオランダ下院選でEU離脱を掲げる自由党を結局与党が圧倒的勝利にて破る結果となった欧州政治リスクの緩和もあり、1.07台までユーロは買われました。その後トランプ政権への懐疑的な見方からグローバルにドルが売られる展開がユーロにも波及、月末にかけてユーロの買戻しは続き、3/27には1.09台(1.0907)を示現しました。しかし、そこをピークに月末には1.06台までユーロは売られ相変わらずトレンドのない状況が続いています。

目先は1.05~1.10のコアレンジをベースにややユーロ買戻しの展開の方が強そうです。オランダ総選挙の結果からフランス大統領選(4/23、5/7)も現時点でEU残留派(マクロン氏)が優位にあり、欧州政治リスクは緩和傾向にあります。またトランプラリーの調整継続が起因するドル売り要因もあり、ややユーロは買われやすい環境にあります。もし仮に1.10を上抜けると1.12程度までユーロが上昇する可能性はあるがそこを含め1.09以上は絶好のユーロの売り場と考えます。グローバル投機筋のユーロ売り持ち高はほぼすべて解消されており、ユーロが更に上昇する局面があれば再度ユーロを売る余力は十分にあります。中期的な視野に立てば、Brexitの不透明感やドイツ大統領選を控えた欧州政治リスクもあり、ECBの金融緩和解除よりもFRBの金融引き締めペースの方が速く進み、ユーロドルの中長期的な見方であるユーロ売りドル買い方向に変更はありません。引き続きユーロの戻り売り押目一部買戻し戦略を推奨します。当面下値は1.05が固そうです。

一方、英ポンドは月初より米3月利上げ観測の高まりとともにドル買いポンド売り地合となり、ポンドドルは一時安値1.2135を示現しました。その後トランプラリー調整のドル売りと英中銀による利上げ期待(ポンド買い)からポンドが買われる展開となり、月末にかけ一時1.25台まで買われました。3/29には予定どおり、英国(メイ首相)がEU離脱を正式に通知しましたが、既に織り込み済みだったため市場の反応は限定的でした。目先の焦点はBrexitの動向です。英国はこれから2年間の離脱手続きに入るが本格的な交渉は5月半ば以降になる見込みであり、前例のない離脱交渉への不透明感は根強いです。また、欧州議会や独首相からも既に英国との交渉へ牽制発言が相次いでおり、交渉は波乱含みで難航が予想されそうです。当面はトランプラリー調整のドル売り(ポンド買い)よりもBrexitを材料としたポンド売り(ドル買い)の方が優勢と想定され、1.20~1.27コアレンジの中、引き続きポンドの戻り売り押目一部買いを繰り返し、ポンド売り持ちポジションをキープする戦略を推奨します。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

リスクオフの流れは終わり、ドル円は115円まで戻ると予想

3月のドル円相場は、米利上げに伴う材料出尽くしから円高に推移する中、オバマケア代替法案が撤回されたことでトランプ大統領の政策実行力への不安が強まり、一時110.09円と110円割れ目前まで下げる場面がありました。

今後のドル円相場ですが、月も変わり、ISM景況指数や米雇用統計といった米重要経済指標が相次いで発表されることから、そろそろオバマケア代替法案撤回をきっかけとしたリスクオフの流れは終了し、市場のテーマは次回米利上げ時期へと移り、ドル円は一旦115円程度まで戻る動きになると考えています。ただし、4月は6、7日に米中首脳会談、中旬には米為替報告書の公表、28日には2017年度米暫定予算期限と重要イベントが数多く予定されており、結果次第ではトランプ大統領への期待より不安の方が大きくなり、大統領選後の上げを全て帳消しにしてしまう動きにつながることも考えられ、これらの結果には特に注意したいところです。

3月のユーロドルは、ユーロ圏の経済が回復傾向にあることに加え、フランス大統領選への警戒が和らいだこともあり、一時1.0904ドルまで上昇する場面がありました。フランス大統領選挙は4月23日に第1回投票、過半数を取る候補者がいなければ5月7日に決選投票が予定されており、4月はこれまで以上にフランス大統領選挙の世論調査結果に一喜一憂する展開が予想されます。ただし、足元の経済が堅調であることから下値は堅いと思われ、4月は1.06ドル~1.10ドルと3月より若干高いレンジでの相場展開になると予想しています。

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