鶴のヒトコエ

東京・ロンドン・ニューヨーク世界3大市場でチーフディーラーを務めた鶴の視点。

鶴 泰治 株式会社FXトレード・フィナンシャル代表取締役社長

三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入行後、本店資金為替部にてディーリングの世界に入り、1990年、為替グループドル円チーフディーラーを経てLA支店ディーリングルーム・チーフディーラー、NY支店ディーリングルーム・シニアマネージャー、ロンドン・ディーリングルームディレクターを歴任。20年以上一貫して外国為替を中心とした外貨ディーリング業務に従事。2008年より現職。

ドル円相場予測

2017年予想レンジ105~130円、流動性が低下した値動きの早く値幅の大きな相場展開、基本戦術は「順張り」。トランプ政策次第で上下オーバーシュートの可能性あり。

2016年のドル円相場は誰もが予測しなかった激しい下落と反発という変革の時代(Brexit,トランプ氏勝利)を暗示した教訓を得るような相場展開となりました。アベノミクスに乗って2015年6月に125円台まで上伸し、2016年初は121円台でスタートしたドル円相場は予想外の米国経済の軟調地合もあり100円割れ(98.90)まで急反落、そしてまたトランプラリーで118円台(118.66)まで買われ、120円台を目指すような展開となりました。

私の2017年の現時点の予想は幅広く105~130円です。同時に値動きが早く値幅も大きい流動性が低下した市場展開が随所に散見される相場となることを予想します。目先トランプ相場は更に進む可能性が高いことから、ドルの買い持ちを基本戦術として相場に臨むことを推奨します。
理由として①米景気:大統領就任式(1月20日)までは現トランプ期待相場が継続、その後も公約どおり積極財政、規制緩和等を進めていけば好調な米経済、インフレ加速に対し、日本は変動無しの予想からドル高が予想されること②金利:FRB理事の2017年度米金利予測(平均年3回の利上げ予想)に対し、日本は10年債金利を0%近辺に固定すると日銀が9月に決定したことから日米金利差拡大によるドル買い、特に大統領選前から米10年債の利回りと相関が高いドル円相場は予想通り年3回の利上げがあり、米10年債が3%(現2.5%程度)を超えていくようであれば2015年高値125.86を上抜けする展開が予想されること。

一方でリスクは①トランプ政権の政策が不確実→期待どおりの政策運営ができない場合はドル円相場急落の可能性も大きく秘めています。特に米大統領選後直近6週間でドル円は15%近く上昇(101.10→118.66)、これは1973年の変動相場制移行後最大の上昇率であり、この速さは向こう数ヶ月以内に大幅な下落調整をはらんでいる可能性が高いです。トランプ政策の評価が変われば巷のストラテジスト(予想屋)はこぞって予測を変更するでしょう。早ければ大統領就任式の演説を聞いて年間予測を大きく変更するストラテジストも出てくるでしょう。
アベノミクスの戻り高値125.86を抜けたら130円近辺までのオーバーシュートもあり得るように、節目の110円を割れたら105円程度のオーバーシュートも充分にあり得ます。

②その他リスクとしてトランプ氏による保護主義政策(ドル安政策)、欧州政治リスク(EU離脱関係、蘭、仏、独)、地政学的リスク、中国情勢等、そもそもFRB理事予想の‘年3回の利上げ予想’自体あてにならないです。昨年12月時点の同予想は‘年4回の利上げ’でしたが結局12月の年1回利上げで終わりました。日銀の0%固定ですらいつまで続けられるかも不透明であり保障もないです。このようにこの時期の‘2017年の相場予想’ほどあてにならないものはなく、現時点ではトレンドはドル高地合い中、ドル高のオーバーシュートと早い上昇ラリーの調整(急反落)の両睨みで臨む必要があります。

このような不確実性が高く、値動きの激しく流動性が低下した相場展開が想定されるとき、大事なことは、基本に立ち返り‘値動きにひたすらついていく’ことです。「順張り」(相場のトレンドに乗って収益を狙う方法)で相場の流れについていくことが肝要です。ポジションを取るときの基本戦術は「順張り」です。値動きの早い流動性が低下したマーケット環境下ではレンジ相場を意識した「逆張り」はワークしません。何故ならば想定したレジスタンス・サポートの両ライン(チャート・ポイント)に厚みがなく簡単に抜けていくからです。まさしくBrexitやトランプラリーの値動きが如実に表れていました。

またストラテジストの相場予測もあてにできません。状況次第で予測した数時間後には予測を変更しています。また、一個人のちっぽけな相場観にも固執しないことです。自分の予測を間違えた場合の損切りは確実にかつ自動的にしないといけません。予測が当たりトレンドに乗ったときの利食い(収益確保)こそ、いかに大きく勝つかが重要なポイントとなります。値頃感、勝手な思い込み(巷の相場予測)や一個人の相場観により簡単に利食うことは避けた方がいいでしょう。利食いとはそもそも相場の転換点(上昇トレンドを作った相場が終焉を迎え下げ相場に転じること)で行うべきであり、利益目標を想定して利食いをするものではありません。

FXは本来、孤独な取引です。自分で判断して相場に入り、自分の判断で損益を計上するものです。取引した瞬間、その後の上げ下げの確率は五分五分、言い換えれば半数が予測を間違えるのです。一方で値動きが早く値幅も大きい相場展開の場合、短期売買における収益チャンスが豊富なことも事実です。
是非、今一度自分の取り組み手法を再度チェックし見直して、不確実性の高い大相場が予想される2017年度でご自身の利潤の確保ができることをFX会社の立場から祈念しております。

ユーロ相場予測

ユーロ、英ポンドともに下値を試す展開。ユーロは大幅下落の可能性あり(パリティから大幅下方下落)。トランプ政策次第で素早い買戻しも視野に。

2016年度のユーロドル相場は2015年4月以降1年半以上長らく続いた1.05~1.15のレンジ相場を遂に下方ブレイクしました。12月5日イタリア国民投票で改憲否決・レンツィ首相退陣により、トランプラリーによるドル全面高の勢いもありユーロは大きく下落、ユーロドルは2003年以来の安値1.0367を示現しました。2017年度の予想は0.95~1.15米欧の景気・金利格差に加えオランダ(3月)、フランス(4~5月)、ドイツ(8月)での選挙に伴う政治的懸念(いずれもユーロ離脱に繋がる)がユーロを大きく圧迫し続けるでしょう。トランプ政策次第で0.95を更に下方ブレイクする可能性もあり、上値は1.10を超えて1.15方向まで戻る可能性も否定できません。ユーロ売り持ちを基本戦術にユーロ大幅下落と欧州安定及びトランプ政策の期待はずれが起因するユーロ買戻しの両睨みで望むことが望ましいです。現時点ではパリティ(1ユーロ=1ドル)割れは必至の勢いです。

英ポンドは6月23日(Brexit:英国国民投票の結果としてEU離脱)事前予想に反してEU離脱が報道されるとポンドドルが1.50台から1.32(ポンド円で160円台から133円台へ)へと1995年以来31年ぶりの安値水準まで大幅下落、その後もポンドはEU離脱につき、徐々に交渉が厳しさを増す「ハードBrexit」(単一市場へのアクセスを失うかどうか)の見方が強まり軟調に推移しました。10月には安値1.1840まで下落しました。ユーロ同様ポンド売り持ちを基本戦術に対ドルでのトランプ政策動向を見極めながら、「ハードBrexit」回避及びトランプ政策期待はずれになった場合のポンド買い戻しによるポンド大幅上昇を睨みながらの展開となりそうです。グローバルな投機筋のポンド売り持ちポジションは高水準である(シカゴIMM)ことからポンドが値を戻した場合、値幅も早くて大きくなる可能性が高いです。

いずれにせよユーロ、英ポンドについてもドル円同様、不確定要素が大きくかつトランプ政策次第で大きく変動する可能性が高く、値動きの早いかつ値幅も大きな流動性の低下した相場展開となりそうです。相場に入る心構えとしてはドル円相場後段で上述したように順張り」を基本戦略として取り組むのが望ましいです。

マーケットはどう動く!?トレーダーの視点

君嶋 慶彦
株式会社FXトレード・フィナンシャル モニタリングユニット マネージャー
2009年、株式会社FXトレード・フィナンシャル入社。現職にて、市場モニタリング、商品企画・市場調査に関する業務を担当。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe(R))

2017年のドル円は125円~130円への上昇を予想

2016年のドル円相場は、2015年12月の米利上げや2016年1月の日銀のマイナス金利導入をきっかけに一時100円割れとなったものの、11月にトランプ氏が次期米大統領に選ばれると急上昇し、118.66円まで値を戻す場面がありました。

2017年のドル円相場ですが、米国の減税や財政支出拡大という材料から基本的にはドル高相場を予想しています。米経済成長が続く限り、短期的な動向は別としてドル円は上昇していくと考えています。日本が長期金利の目標を0%に置いているため、アベノミクス開始以来の高値である125.85円を超えて大きく上昇する可能性も十分あると思います。ただ目先に関して言えば、12月のFOMC声明文で今後の利上げ見通しが上方修正されたにも関わらず上値が重い状態であること、1月20日にはトランプ大統領就任式を控えていることから、一旦は115円程度までの調整があると考えています。その後はトランプ大統領の所信表明演説次第ですが、減税やインフラ投資に優先的に取り組むことが確認されれば、相場は再び上昇基調に転じる可能性が高いと思います。ただし、減税よりも移民問題や貿易問題に重点が行われた場合は、今回のドル高の流れは終わり、短期間で米大統領選前の水準である100円台前半まで下落してもおかしくなく、2017年の相場を占う上でトランプ大統領の所信表明演説には最大限の注意が必要でしょう。

ユーロドルに関しても、中期的にドル高相場を予想していますが、目先は調整の動きになると考えています。こちらもトランプ大統領の所信表明演説次第になりますが、問題なく通過すればいよいよパリティ(1ユーロ=1ドル)に向けて動いていくと思います。2017年は4月~6月にフランス大統領選挙とフランス国民議会選挙、秋にはドイツ連邦議会選挙といった重要イベントも予定されています。結果次第ではBrexit並の急変動が予想されることから、ユーロドルではトランプ大統領の所信表明演説に加え、選挙結果にも注目していきたいところです。

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