バイナリーオプションの価格計算方法

バイナリーオプションの価格(プレミアム)は、権利行使価格、原資産の価格、原資産の価格変動率、権利行使期限までの時間、金利などの影響を受けて変化します。ギリシャ指標(デルタ・ガンマ・ベガ・セータ)は、価格変化の計算に使われる指標です。

価格(プレミアム)について

オプション価格は「プレミアム」とも呼ばれ、そのオプションがどのくらいの価値を持っているかを表しています。
オプションの価値は本源的価値に時間的価値を加えたもので、権利行使価格、原資産の価格、原資産の価格変動率、権利行使期限までの時間、金利などの影響を受けます。
権利行使価格、権利行使期間が同一のヨーロピアンタイプとアメリカンタイプのオプションでは、いつでも権利行使できる分、アメリカンタイプの方がオプション価格は高くなります。
オプションの価格を計算するモデルにはブラック・ショールズ・モデルや2項モデルなどがあります。

プレミアム

1.本源的価値

本源的価値は、現時点でオプションが持っている価値であり、その時点で権利行使することによってどのくらいの利益が発生するかを表しています。
原資産価格と権利行使価格の関係によって決まります。
例えば原資産の価格が1,000円、権利行使価格が900円のコールオプションの場合は、1000円-900円=100円の本源的価値を持っていることになります。
つまりイン・ザ・マネーのオプションでは、原資産価格が権利行使価格から離れるほど、オプション価格は高くなることになります。
一方、アット・ザ・マネー、アウト・オブ・ザ・マネーの時は権利行使で利益が発生しないため、本源的価値を持っていない=0円となります。
つまりアット・ザ・マネー、アウト・オブ・ザ・マネーの時のオプション価格には、時間的価値しかないことになります。

コール・オプション:本源的価値=原資産価格-権利行使価格

プット・オプション:本源的価値=権利行使価格-原資産価格

イン・ザ・マネー 「本源的価値」のあるオプションのこと。買い手が権利行使を行うと利益が生じる状態をいいます。
アット・ザ・マネー 原資産の市場の現在価格とオプションの権利行使価格とが等しい状態をいいます。
アウト・オブ・ザ・マネー オプションに本源的価値がなく、買い手が権利行使をすると損失が生じる状態をいいます。
また、大きくアウト・オブ・ザ・マネーとなっている状態をディープ・アウト・オブ・ザ・マネーといいます。
権利行使価格 本源的価値
高い コール 低くなる
プット 高くなる
低い コール 高くなる
プット 低くなる
原資産価格 本源的価値
高い コール 高くなる
プット 低くなる
低い コール 低くなる
プット 高くなる

2.時間的価値

時間的価値は、オプションの残存期間を対象とした将来の期待値で、権利行使時までにオプション価格が変動して本源的価値が大きくなることを期待した価値のことです。
時間的価値は原資産の価格変動率、権利行使期限までの時間、金利などを元に計算されます。
将来の期待値に対する価格なので、本源的価値を持っていない=0円の時でも時間的価値はプラスとなります。
アウト・オブ・ザ・マネーのオプションでは、権利行使価格から原資産価格が離れるほど、将来の期待値が低くなるため、オプション価格は低くなります。
それぞれの要素はオプション価格と次のような関係があります。

原資産の価格変動率(ボラティリティ) 本源的価値
高い コール 高くなる
プット 高くなる
低い コール 低くなる
プット 低くなる

原資産の予想される価格変動率(ボラティリティ)には、ヒストリカルボラティリティとインプライドボラティリティがあります。

ヒストリカルボラティリティ …
原資産の過去のデータに基づいて算出した変動率のことをいう。過去一定期間の原資産価格の変化率の平均値から求められる。「歴史的変動率」とも言われる。
インプライドボラティリティ …
実際に、現在取引されているオプション価格から算出された原資産の変動率(ボラティリティ)のこと。「予想変動率」とも言われる。

※当社商品「FXTF バイナリー・トレード(バイトレ)」では、ヒストリカルボラティリティを用いて、オプション価格を算出しています。

期間 本源的価値
長い コール 高い
プット 高い
短い コール 低い
プット 低い
金利 本源的価値
高い コール 高くなる
プット 低くなる
低い コール 低くなる
プット 高くなる

グラフ

例:本源的価値と時間的価値の関係(コールオプション)

原資産価格 権利行使価格 オプション価格 本源的価値 時間的価値
イン・ザ・マネー 1000円 900円 150円 100円 50円
アット・ザ・マネー 900円 900円 100円 0円 100円
アウト・オブ・ザ・マネー 800円 900円 30円 0円 30円
コールオプションなので、本源的価値は原資産価格-権利行使価格でもとめられます。原資産価格が権利行使価格より低い場合は本源的価値は0円となります。
時間的価値はオプション価格-本源的価値でもとめられます。

3.プライシングモデル

オプション価格の理論式として代表的なものとしては、ブラック・ショールズ・モデルや2項モデルとよばれるモデルがあります。

ブラック・ショールズ・モデル …
ヨーロピアンタイプのオプションを計算するモデル。裁定関係を利用して算出されます。計算にかかる時間がとても短いため、金融実務で広く利用されています。
2項モデル …
原資産価格の変動パターンを樹形に当てはめ、将来の価格推移を予測して現在のオプション価格を算出するモデル。
アメリカンタイプやエキゾチックの価格計算ができるものの、計算に時間がかかってしまうという難点があります。

下図は、オプション価格を計算するモデルの代表的なものであるブラック・ショールズ・モデルです。
ブラック・ショールズ・モデルの式に、権利行使価格、原資産の価格、原資産の価格変動率、権利行使期限までの時間、金利の変数が入っていることがわかります。

B&Sモデル

ブラック・ショールズ・モデル

C:コールオプション価格
e:ネピアの数
t:期間
S:原資産価格
N(d):標準正規分布の累積確率密度関数
r:安全利子率=金利
k:権利行使価格
d:累積密度関数N()の変数
σ:原資産の価格変動率(予想変動率)

バイナリーオプションの価格について

バイナリーオプションの価格も、権利行使価格、原資産の価格、原資産の価格変動率、権利行使期限までの時間、金利などの影響を受けます。

バイナリーオプションの理論価格計算には、ブラック・ショールズ・モデルを修正したプライシングモデルがよく用いられており、当社商品「FXTF バイナリー・トレード(バイトレ)」においても、権利行使価格、原資産の価格、原資産の価格変動率(ヒストリカル・ボラティリティ)、権利行使期限までの時間を元に「ブラック・ショールズ・モデル」を用いて価格を算出、リスクプレミアムを考慮したうえで価格を提示しています。金利については、判定時間までの期間が短いため考慮されておりません。

※バイナリーオプションでは、ペイアウト額が固定されており、バイナリーオプションの価格はペイアウト額を上回ることはありません。

・権利行使価格・原資産価格(本源的価値)

イン・ザ・マネー時 ペイアウトを受け取る確率が高いため、オプション価格はアウト・オブ・ザ・マネー時よりも高くなります。
アウト・オブ・ザ・マネー時 ペイアウトを受け取る確率が低いため、オプション価格はインオブザマネー時よりも低くなります。

・原資産の価格変動率(時間的価値)

イン・ザ・マネー時 オプションの価格は原資産の価格変動率が高いほど、アウト・オブ・ザ・マネーになる確率が高いため低くなります。
アウト・オブ・ザ・マネー時 オプションの価格は原資産の価格変動率が高いほど、イン・ザ・マネーになる確率が高いため高くなります。

・期間(時間的価値)

イン・ザ・マネー時 オプションの価格は権利行使期限までの残り時間が長いほど、アウト・オブ・ザ・マネーになる確率が高いため低くなります。
オプション価格は判定時刻が近づくにつれて、ペイアウトを受け取る確率が高くなっていくためにペイアウトの金額に近づいていきます。
アウト・オブ・ザ・マネー時 オプションの価格は権利行使期限までの残り時間が長いほど、イン・ザ・マネーになる確率が高いため高くなります。
オプション価格は判定時刻が近づくにつれて、ペイアウトを受け取る確率が低くなっていくために0円に近づいていきます。

ギリシャ指標(Greeks)について

オプションの価値は本源的価値と時間的価値から構成され、権利行使価格、原資産の価格、原資産の価格変動率、権利行使期限までの時間、金利などの影響を受けます。
これらの要素は権利行使価格を除き、刻々と変化し、オプションの価格も変化していきます。
オプション価格の計算に使われる指標として下記のような指標(ギリシャ指標)があります。

・デルタ

概要 原資産の価格変化に対するオプション価値の変化率を表したもの
計算式 デルタ=オプション価格の変化額÷原資産の変化額
特徴 例えばデルタが0.5の場合、原資産の価格が100上昇すると、オプション価格は50上昇します。
コールオプションは正のデルタをもち、プットオプションは負のデルタをもちます。
イン・ザ・マネーのオプションでは、オプションの価格は原資産価格が権利行使価格から離れるほど高くなりますが、一般的にイン・ザ・マネーのオプションはデルタの値が大きいため、原資産の価格とほぼ連動して動きます。
アウト・オブ・ザ・マネーのオプションでは、オプションの価格は原資産価格が権利行使価格から離れるほど低くなりますが、アウト・オブ・ザ・マネーのデルタは小さいため、原資産の価格変動がオプション価格に与える影響は小さくなります。

・ガンマ

概要 原資産の価格変化に対するデルタの変化率を表したもの
計算式 ガンマ=デルタの変化幅÷原資産の変化額
特徴 ガンマはコールオプションでもプットオプションでも常に正の値となります。
ガンマの値が大きくなるほど原資産の価格が変動した時のデルタの変化が大きくなります。
ガンマの値はアット・ザ・マネーにおいて最も大きく、権利行使価格から離れるに従い小さくなっていきます。

・ベガ

概要 原資産のボラティリティの変化に対するオプション価格の感応度を表したもの
計算式 ベガ=オプション価格の変化額÷ボラティリティの変化幅
特徴 ベガはコールオプションでもプットオプションでも常に正の値となります。
ベガの値は、ボラティリティの影響の大きいアット・ザ・マネー付近で大きな値となります。
また、判定時刻までの長いオプションの方が、ベガは大きくなります。

・セータ

概要 時間変化に対するオプション価格の変化額を表したもの
計算式 セータ=オプション価格の変化額÷残存日数の減少
特徴 セータはコールオプションでもプットオプションでも常に負の値となります。
セータの値が大きくなるほど、1日経過したときのオプション価格の減少が大きくなります。
セータの値はアット・ザ・マネーにおいては満期が近付くにつれて上昇し、イン・ザ・マネーやアウト・オブ・ザ・マネーでは 満期日目前にセータは減少していきます。